
日常的に飲む一杯の炭酸飲料が、人の寿命に影響を与える可能性を、米ミシガン大学の研究が指摘しています。この手軽な選択が、私たちの健康にどのような影響を及ぼすのか。海外で報じられた研究内容を紹介します。
このニュースの要点は、下記3つです。
- ミシガン大学の研究が、砂糖入り炭酸飲料1缶で寿命が12分、ホットドッグ1本で36分短くなる可能性があると推定したこと。
- これらの「超加工食品」の日常的な摂取が、心臓病や糖尿病など様々な健康リスクを高めることが他の研究でも示されていること。
- 問題の背景には、低所得地域で健康的な食品より超加工食品が手に入りやすいという社会的な課題があること。
▼ 出典元
New study finds shocking impact that soft drinks have on human lifespan: ‘The urgency … is clear’
炭酸飲料1缶で「寿命が12分」縮む?研究の詳細
仕事の合間のリフレッシュに、つい手を伸ばしがちな甘い炭酸飲料。しかし、その一杯が私たちの健康に静かな、しかし確実な影響を与えているかもしれません。
米国のミシガン大学の研究チームが発表した研究は、私たちが日常的に口にする食品が、寿命にどれだけの影響を与えるかを具体的な時間で示しました。それによると、砂糖で甘くされた炭酸飲料を1缶飲むごとに、寿命が12分短くなると推定されるのです。
さらに衝撃的なのは、ホットドッグ1本で36分、その他多くのスナック菓子なども、同様に寿命を縮める要因として挙げられている点です。
研究の共著者であるオリヴィエ・ジョリエット (Olivier Jolliet) 博士は、「人間の健康を改善するための食生活の変化の緊急性は明らかです」と述べ、より健康的な食品に切り替えることが有意義な利益をもたらすと強調しています。
なぜ「超加工食品」は危険視されるのか?
炭酸飲料やホットドッグは、「超加工食品(UPFs: Ultra-Processed Foods)」の典型例です。これらは、工業的なプロセスを経て、保存料、甘味料、着色料などが多量に加えられた食品を指します。
これらの食品の危険性は、今回の研究だけでなく、多くの研究で指摘されています。英国医師会雑誌(BMJ)に掲載された分析によれば、超加工食品の定期的な摂取は、心臓病、肥満、糖尿病、さらにはうつ病のリスクを高めることと関連しています。
便利な一方で、私たちの体が本来必要としない成分が多く含まれており、気づかぬうちに健康を蝕んでいく可能性があるのです。
個人の選択だけの問題ではない、社会的な背景
「じゃあ、そういうものを食べなければいい」と考えるのは簡単ですが、問題はそれほど単純ではありません。
特に低所得の地域では、新鮮で栄養価の高い食品よりも、安価で日持ちのする超加工食品の方が手に入りやすいという「フードアクセス」の問題が存在します。これは、健康格差を生み出す大きな社会問題です。
また、研究では名指しされていませんが、巨大な飲料メーカーは、商品の健康への影響や、製造過程で生じるプラスチックごみの問題について、十分な対策を取っているとは言えないという批判も根強くあります。
私たちに今できることとは?
この問題に対し、公衆衛生の専門家たちは、より分かりやすい栄養成分表示の義務化や、飲料に含まれる砂糖の制限、特に子供たちに向けた広告の規制強化などを求めています。
社会全体での取り組みが待たれる一方で、私たち個人にもできることはあります。
最もシンプルで効果的なのは、甘い飲み物を水やお茶に切り替えることです。また、買い物をする際に加工度の低い食品を選ぶように心がけるだけでも、個人の健康リスクを減らし、問題を引き起こす企業への需要を間接的に減らすことにつながります。
日々の小さな選択が、あなた自身の未来と、社会全体の健康を変える第一歩になるのかもしれません。
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- ミシガン大学の研究が、砂糖入り炭酸飲料1缶で寿命が12分、ホットドッグ1本で36分短くなる可能性があると推定したこと。
- これらの「超加工食品」の日常的な摂取が、心臓病や糖尿病など様々な健康リスクを高めることが他の研究でも示されていること。
- 問題の背景には、低所得地域で健康的な食品より超加工食品が手に入りやすいという社会的な課題があること。
寿命が12分縮む言うても、ピンときませんわな。せやけど、その12分が積もり積もって、見たかったはずの孫の晴れ姿が見れんようなるかもしれん。その時になって、『あの時、お茶にしとけばよかった』言うても、もう遅いんですわ。今日のその一本、ほんまに喉、渇いてはりますか?