
このニュースは、米国のドナルド・トランプ大統領が、高齢者向けのCBD(大麻由来成分)製品の使用を促進する動画を自身のSNSで共有し、これを受けて関連企業の株価が40%以上急騰したと海外メディアが報じたものです。アメリカの偉いさんが、おじいちゃんおばあちゃんの痛みに大麻がええ言うて。わてらの湿布薬が、ある日いきなり大麻クリームに変わる、なんて未来が来るんやろか?
このニュースの要点は、下記3つです。
- ランプ大統領が、高齢者の痛みやストレスを緩和するとしてCBD製品を称賛する動画をSNSで共有した。
- これを受け、週明けの株式市場では『ティルレイ』社など大麻関連企業の株価が一時40%以上急騰した。
- 動画はCBD製品への公的医療保険(メディケア)適用を求めており、大麻の規制緩和への期待が高まっている。
出典:Cannabis stocks soar after Trump shares video promoting drug’s use for seniors (The Guardian, 2025年9月29日)
目次
トランプ氏の投稿と市場の熱狂
2025年9月28日の日曜日、ドナルド・トランプ大統領は自身のSNSプラットフォーム『Truth Social』に約3分間の動画を投稿しました。
この動画は、高齢者のヘルスケアにおける大麻使用を推進する団体『コモンウェルス・プロジェクト』が制作したもので、麻由来の成分CBDを、高齢者の痛みやストレスを和らげる「ゲームチェンジャー」だと紹介。さらに、トランプ氏が2018年に産業用大麻を合法化した農業法案に署名したことを称賛し、次のように訴えました。
今こそ医師を教育し…CBDにメディケア(高齢者向け公的医療保険)の適用を提供し、何百万人もの高齢者に彼らが受けるべき支援を与える時です。
この投稿を受け、週明けの月曜日の株式市場は即座に反応。『キャノピー・グロース』、『ティルレイ』、『クロノス・グループ』といった大麻関連企業の株価は軒並み急騰。特にティルレイ社の株価は40%以上も高騰し、市場の熱狂ぶりを示しました。
規制緩和を巡る政治的な駆け引き
大麻業界は長年、連邦レベルでの規制緩和をホワイトハウスに期待してきました。
現在、米国の法律では、マリファナはヘロインやLSDと同じ「スケジュールI薬物」に分類されています。これは「医療用途が認められず、乱用の危険性が高い」とされる最も厳しい規制です。バイデン政権下では、この分類をよりリスクの低いものへ見直すよう、『保健福祉省』が『麻薬取締局(DEA)』に勧告していました。
一方、トランプ政権はこれまで規制緩和に沈黙を貫いてきましたが、2025年8月に「再分類を検討している」と発言。しかし、その態度は依然として曖昧でした。
医療に関しては素晴らしいことを聞いているし、それ以外のほとんど全てのことに関しては悪いことを聞いている。非常に複雑なテーマだ。
今回の動画共有は、これまでの方針を転換し、規制緩和へ前向きな姿勢を明確に示したものと市場は受け止めています。
この海外の動きは、日本の私たちにどう関係するのか?
現在、日本では医療用であっても大麻の使用は厳しく制限されており、このニュースは遠い国の話に聞こえるかもしれません。しかし、世界で最も影響力のある国の大統領が、高齢者の痛み緩和のために大麻由来製品を推進したという事実は、無視できない大きな変化です。
もし米国で連邦レベルの規制緩和が進み、高齢者向け医療の一環としてCBDが公的に認められれば、その波は必ず日本にも及びます。
ただし、日本での実現には大きなハードルがあります。現在の日本の法律では、CBD製品であっても、精神作用のあるTHCが微量でも検出されれば違法となります。米国で規制緩和が進んだとしても、製品の品質管理が徹底されない限り、日本では安心して使えません。この「THCフリー」の保証こそが、日本でCBDが普及するための最大の課題なのです。
比較して見えてくるポイント
このニュース、他の出来事と比べてみると、さらに深い意味が見えてきます。高齢者の痛み緩和に対する、日米のアプローチを比較してみましょう。
推進の主体
米国(政治・市場主導型) | 日本(医療・規制主導型) |
大統領の発言一つで株価が乱高下するなど、政治的な思惑や市場経済の原理が強く働く。トップダウンで議論が動く。 | 厚生労働省や医学界が中心となり、科学的根拠に基づき慎重に議論が進められる。規制当局の判断が最優先される。 |
アプローチ
米国(政治・市場主導型) | 日本(医療・規制主導型) |
CBDのような、まだ科学的コンセンサスが確立されていない新しい選択肢も、政治的な後押しで一気に普及する可能性を秘める。 | 既存の医薬品や治療法が第一選択。新しい治療法の導入には、長期間にわたる厳格な臨床試験と審査が不可欠。 |
社会的受容度
米国(政治・市場主導型) | 日本(医療・規制主導型) |
既に40の州で医療用大麻が、24の州で非医療用大麻が合法化されており、国民の抵抗感は相対的に低い。 | 大麻に対する強い社会的偏見やスティグマが根強く残っており、医療目的であっても議論はタブー視されがち。 |
このように比較すると、米国では政治と経済が一体となって新しい市場や解決策を生み出そうとするダイナミズムがある一方、日本では科学的・社会的なコンセンサスを重視する慎重な姿勢が見て取れます。どちらが良いというわけではなく、この違いが今後の両国の高齢者ケアのあり方を大きく左右するでしょう。
重要キーワード
「CBD (カンナビジオール)」とは?
大麻草に含まれる成分の一つ。同じく大麻草に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)とは異なり、精神を高揚させる作用(いわゆる「ハイ」になる作用)がないことが特徴です。鎮痛、抗炎症、リラックス効果などが報告されており、海外ではオイルやクリーム、食品など様々なウェルネス製品に利用されています。この記事では、このCBDが高齢者の痛みやストレスを緩和する「ゲームチェンジャー」として紹介されています。
「スケジュールI薬物」とは?
米国の規制物質法に基づく薬物の分類で、最も規制が厳しい区分。「医療用途が認められず、乱用の危険性が高い」と定義され、ヘロインやLSD、そして現在の大麻(マリファナ)が含まれています。この分類にある限り、大規模な研究や医療処方が困難なため、大麻推進派は、医療用途が認められている薬物が含まれる「スケジュールII」以下への再分類を強く求めています。
「コモンウェルス・プロジェクト」とは?
高齢者のヘルスケアにおける大麻(カンナビス)使用を促進する米国の活動団体。トランプ大統領が共有した動画の制作者です。彼らの主張は、大麻がスケジュールI薬物に分類されていることで、高齢者の生活を一変させる可能性のある代替療法の研究や普及が妨げられているという点にあります。この記事では、政治的な動きの裏にいる、具体的なロビー活動の主体として登場します。
みんなの生声
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- トランプ大統領が、高齢者の痛みやストレスを緩和するとしてCBD製品を称賛する動画をSNSで共有した。
- これを受け、週明けの株式市場では『ティルレイ』社など大麻関連企業の株価が一時40%以上急騰した。
- 動画はCBD製品への公的医療保険(メディケア)適用を求めており、大麻の規制緩和への期待が高まっている。
あなたに問う
いやはや、アメリカの偉いさんが「じいちゃんばあちゃんの痛みに大麻がええで」と言い出したら、会社の株価がどえらいことになったらしいわ。風が吹けば桶屋が儲かる、とはよう言うたもんやな。
わてらも歳とったら、あちこち痛いとこが出てくるわな。その時、昔ながらの湿布を貼るか、最新のCBDオイルを塗るか、選べるようになったらどないする?
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