
「海の見える家でのんびり暮らしたい」なんて、ただの憧れやと思っていませんか?その選択、あなたの寿命を1年延ばすかもしれません。米国の大学から、住む場所と健康に関する、ちょっと意外な研究結果が届きました。
このニュースの要点は、下記3つです。
- 海の近くに住む人は、米国の平均より寿命が1年長い傾向があったこと。
- 一方、都市部の湖や川の近くに住む人は、逆に寿命がわずかに短い傾向が見られたこと。
- この差は、気候の穏やかさや空気の質、貧困率といった、水辺そのものではない環境・社会経済的要因が強く関連していること。
▼ 出典元
New Research Reveals Living by the Ocean Could Add a Year to Your Life
なぜ「水辺の暮らし」に注目が集まっているのか?
「水辺の近くに住むと、心身ともに健康になる」。そんなイメージ、あなたも何となく持っていませんか?
実際にこれまでの研究でも、水辺の空間(ブルースペース)の近くに住む人々は、身体活動レベルが高く、肥満率が低いなど、健康状態が良い傾向にあることが示唆されてきました。
この事実に着目したのが、米国のオハイオ州立大学の研究チームです。彼らは、「もし健康状態が良いのなら、それは寿命にも影響を与えるのではないか?」という疑問から、米国全土の66,000以上の地域を対象に、住む場所と平均寿命の関係を、これまでにない大規模なスケールで分析しました。
海の近くは長寿、都会の川沿いは短命?驚きの研究結果
2025年5月に学術誌『Environmental Research』に発表されたその分析結果は、私たちの思い込みを覆す、驚くべきものでした。
「水辺」と一括りにはできず、その種類によって寿命への影響が全く異なっていたのです。
まず、良いニュースから。海やメキシコ湾から約48km以内に住む沿岸部の人々は、米国の平均寿命である79歳より1年以上長く生きる傾向がありました。
しかし、一方で、都市部で大きな湖や川といった内陸の水辺の近くに住む人々は、逆に平均よりわずかに早く、78歳前後で亡くなるという、ネガティブな傾向が見られたのです。
寿命の差を生むのは「水」ではなかった?本当の要因とは
では、なぜこのような残酷なまでの差が生まれるのでしょうか。研究チームは、その原因が水そのものではなく、それぞれの場所を取り巻く環境と社会経済的な要因の複雑な組み合わせにあると結論付けています。
沿岸部が長寿に繋がるポジティブな要因としては、
- 内陸部よりも猛暑日が少なく、気候が穏やかであること(最も重要な違い)
- 空気の質が良いこと
- レクリエーションの機会が豊富なこと
- 所得水準が比較的高いこと
などが挙げられました。
逆に、都会の内陸水辺が短命に繋がるネガティブな要因としては、
- 水質汚染や洪水のリスク
- 貧困率の高さ
- 安全に運動できる場所の不足
などが指摘されています。
日本の私たちにとっての意味とは?
この研究は、私たちに二つの重要な教訓を教えてくれます。
一つは、「水辺の暮らしは健康に良い」というような、単純なイメージに飛びついてはいけない、ということです。大切なのは、その場所が持つ気候、環境の質、経済的な安定性、安全性といった、生活全体の質です。
そしてもう一つは、より希望に満ちたメッセージです。私たちの健康や長寿は、住む場所だけで決まるわけではありません。その場所の「良い点」を最大限に活かし、「悪い点」を自分の工夫で補うことで、未来は変えられるということです。
たとえ都会の川沿いに住んでいたとしても、室内の換気を良くして空気の質に気を配ったり、安全な公園まで足を延ばして運動する習慣をつけたりすることは、今日からでも始められる、立派な長寿戦略なのです。
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- 海の近くに住む人は、米国の平均より寿命が1年長い傾向があったこと。
- 一方、都市部の湖や川の近くに住む人は、逆に寿命がわずかに短い傾向が見られたこと。
- この差は、気候の穏やかさや空気の質、貧困率といった、水辺そのものではない環境・社会経済的要因が強く関連していること。
結局、海の近くがいいと言っても、それは空気やら気候やら、トータルでの環境がいいという話。今の家でできる健康法もたくさんあります。窓を開けて空気入れ替えるだけでも、タダでできる立派な健康法です。