
このニュースは、2025年8月27日、ドイツの『マックス・プランク研究所』などが、日本を含む先進国で、平均寿命の伸びが過去に比べて大幅に減速している、という衝撃的な研究結果を発表した、海外の話ですわ。「人生100年時代」なんて言われて、すっかりその気になっとったけどな。どうやら、わしらの寿命、そんなに甘いもんやないみたいやで。
このニュースの要点は、下記3つです。
- 先進23カ国で、平均寿命の伸びが過去の直線的なペースから大幅に減速していることが判明しました。
- 原因は、乳幼児死亡率の改善が限界に達した一方、高齢期の寿命の伸びがそれを補えていないためです。
- これにより、「人生100年」という予測は、少なくとも今の世代では達成困難である可能性が示唆されています。
出典元:Study shows life expectancy slowing across 23 wealthy countries (NEWS MEDICAL LIFE SCIENCES, 2025年8月27日)
参考論文:Cohort mortality forecasts indicate signs of deceleration in life expectancy gains (Proceedings of the National Academy of Sciences, 2025年)
目次
「人生100年時代」という“神話”の終わり
ドイツの『マックス・プランク人口研究所』をはじめとする国際研究チームは、権威ある学術誌『PNAS』(米国科学アカデミー紀要)に、衝撃的な論文を発表しました。
日本を含む、所得水準の高い先進23カ国の死亡率データを分析した結果、1939年以降に生まれた世代の平均寿命の伸びが、それ以前の世代に比べて、大幅に減速していることが明らかになったのです。
この分析は、特定の年に生まれた集団を追跡する「コーホート生命」という、より現実に即した指標に基づいています。さらに、「アリアガ法」という手法で分析した結果、この伸び悩みの原因が、主に若年層の死亡率改善の頭打ちにあることが突き止められました。
なぜ“奇跡の時代”は終わったのか?意外な本当の理由
20世紀、私たちの親や祖父母の世代は、何もしなくても社会が寿命を延ばしてくれる「ボーナス期」を生きてきました。その最大の理由は、ワクチンや公衆衛生の普及によって、若くして亡くなる人が劇的に減ったことです。しかし、その“伸びしろ”は、先進国ではすでになくなってしまいました。
研究チームは、「高齢期(60歳以上)の寿命の伸びだけでは、若年層での改善が頭打ちになった分を、もはや補いきれない」と分析。社会が自動的に寿命を押し上げてくれた「奇跡の時代」は、終わりを告げたのです。
比較して見えてくるポイント
私たちの親や祖父母の世代と、今の私たちとでは、「寿命の伸び方」の前提条件が、全く異なっているようです。
寿命の伸び方
1900〜1938年生まれの世代 | 1939年以降生まれの世代(私たち) |
ワクチンや衛生環境の改善により、若くして亡くなる人が激減。何もしなくても、社会全体が寿命を押し上げてくれる「ボーナス期」でした。 | 若年層の死亡率は、すでに下がりきっています。ここから寿命を延ばすには、老化そのものに介入するような、全く新しいブレークスルーが必要です。 |
「人生100年」への距離
1900〜1938年生まれの世代 | 1939年以降生まれの世代(私たち) |
このペースが続けば、1980年生まれの世代は平均寿命100歳に到達する、と予測されていました。 | 最新の予測では、2000年生まれの世代ですら、平均寿命100歳に到達する可能性は低い、と結論づけられています。 |
この研究は、「人生100年時代」という言葉を、私たちがもう一度、冷静に見つめ直す必要があることを示唆しています。
国や社会が自動的に寿命を延ばしてくれた時代は、終わりました。これからの時代、私たちが健康で長生きするためには、これまで以上に、個人の意識的な努力や、老化そのものに介入する新しい科学技術が、不可欠になってきます。
年金、医療、そしてキャリアプラン。「人生100年」を前提に組まれていた、これまでの社会の仕組みそのものを、より現実的な予測に基づいて、見直す時期に来ているのかもしれません。
重要キーワード
「コーホート生命」とは?
特定の年に生まれた人々の集団(コーホート)が、実際に平均何歳まで生きるかを予測する指標です。天気予報で言う「明日の最高気温(一時点の予測)」ではなく、あなたという個人が、一生で経験する「平均気温」のようなもの、と考えると分かりやすいです。
「アリアガ法」とは?
平均寿命の変化が、どの年齢層の死亡率の変化によってもたらされたのかを、数学的に分解・分析する人口学の手法です。今回の研究では、この手法を用いることで、「寿命の伸び悩みの原因が、主に若年層の死亡率改善の頭打ちにある」という、核心的な結論が導き出されました。
みんなの生声
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- 先進23カ国で、平均寿命の伸びが過去の直線的なペースから大幅に減速していることが判明しました。
- 原因は、乳幼児死亡率の改善が限界に達した一方、高齢期の寿命の伸びがそれを補えていないためです。
- これにより、「人生100年」という予測は、少なくとも今の世代では達成困難である可能性が示唆されています。
あなたに問う
「人生100年時代」て聞くと、わしら、漠然と「大変やなぁ」と思うとったけどな。けど、今回の話を聞くと、100まで生きるんは、どえらい幸運なことなんやな、て改めて思いますわ。
国や社会が用意してくれた“上りエスカレーター”は、もう止まってしもうた。こっから先は、自分の足で、一歩一歩、階段を上るしかないんや。
あんた、自分の足腰、ちゃんと鍛えとりますか?