この記事では、王立植物園の園芸療法士ナンシー・リー・コーラ・ボトル氏の解説に基づき、科学的にも注目される「園芸療法」の効果について探るで。ただの趣味の庭いじりが、なんで年を重ねた心と体に、特にボケ防止や生きがい作りに、こないに効くんか。そのワケを、噛み砕いて教えたるわな。
この記事を読むと、3つのことがわかります。
- なぜ「土いじり」が科学的に心と体のリハビリとして認められているのか、その理由がわかります。
- 園芸療法が高齢者の認知機能や身体能力の維持に、具体的にどのような効果をもたらすかが理解できます。
- 日々の生活に楽しみと社会との繋がりを取り戻し、生きがいを見つけるためのヒントが得られます。
話し手:ナンシー・リー・コーラ・ボトル (Nancy Lee-Colibaba)
プロフィール:カナダの王立植物園(Royal Botanical Gardens)に所属する園芸療法士。高齢者施設を中心に、植物や園芸活動を用いた心身の健康増進プログラムを実践。園芸療法の教育や普及にも力を注いでいる。
出典:What Is Horticultural Therapy? | Dr. JJ Dugoua, ND | Naturopathic Doctor in Toronto
目次
歳をとって“できること”が減っていく…そんな寂しさを感じていませんか

定年退職して、社会との繋がりがぷつりと切れてしまった。身体が思うように動かなくなり、昔のように気軽に外出できなくなった。一日中テレビを見て過ごすけれど、時間がただ過ぎていくだけで、心が満たされない。
若い頃は、仕事や子育てで毎日忙しく、自分の時間なんてなかったのに。いざ自由な時間ができても、何をすればいいのか分からない。
誰かの役に立っているという実感もない。「自分はもう、社会から必要とされていないのかもしれない…」
そんな風に、日に日に小さくなっていく自分の存在を、ただ寂しく見つめている。そんな毎日を送っていませんか。
なぜ、ただの土いじりが“心の処方箋”になるのでしょうか

「今さら新しい趣味なんて…」そう思って、これまで地域のサークルや習い事に、あと一歩が踏み出せませんでした。
若い人たちに混じって、気を使って疲れるのはもう嫌だ。かといって、高齢者向けの活動は、どこか「お情け」のようで惨めな気持ちになる。そんな風に心を閉ざし、社会的な孤立を深めていませんでしたか。
私もかつては、そうしたプライドが邪魔をして、新しい環境に飛び込むのが怖かった一人です。しかし、園芸療法は、そんな頑なな心を、そっと解きほぐしてくれました。
植物を前にした時、私たちは教える側でも、教えられる側でもありません。ただ、一つの生命に寄り添う、対等な存在になれるのです。その安心感が、どれほど心を軽くしてくれるか。過去の私と同じように、人知れず寂しさを抱えるあなたに、どうしても伝えたいのです。
科学が認めた「園芸療法」、5つの驚くべき効果

園芸療法は、単なる趣味や気晴らしではありません。アメリカなどでは、作業療法士や理学療法士と同じ専門職として大学で学ぶことができる、科学的根拠に基づいたアプローチです。その目的は、植物との関わりを通じて、生活の質を向上させること。特に高齢者に対して、心と体の両面に素晴らしい効果をもたらします。
1. 身体機能の維持・向上
土を混ぜる、種をまく、水をやるといった一連の作業は、自然な形で身体を動かす機会を提供します。
小さな種をつまむ動作は指先の細かな運動能力(微細運動)を、プランターを持ち上げる動作は体全体の筋力(粗大運動)を、知らず知らずのうちに鍛えてくれます。
2. 認知機能の活性化
「この花の名前、何だったかしら?」「昔、庭でトマトを育てたなあ」。植物に触れることは、昔の記憶を呼び覚ます強力なきっかけになります。クイズ形式で植物の名前を当てたり、次の作業計画を立てたりすることは、単調になりがちな毎日に知的な刺激を与え、認知症予防に繋がります。
3. 精神的な安らぎと癒し
植物の緑は目の疲れを癒し、花の香りは心を落ち着かせます。生命が成長していく姿を間近で感じることは、私たちに穏やかな気持ちと希望を与えてくれます。がん治療施設などで「癒しの庭」が作られているように、植物にはストレスを和らげ、心を安定させる効果があるのです。
4. 社会的な繋がりの創出
同じ活動を共有することは、自然な会話と交流を生み出します。「そのお花、きれいですね」「昔はこんな風に育てたんですよ」。植物という共通の話題が、年齢や経歴の壁を取り払い、新しい人間関係を築くきっかけになります。孤立しがちな高齢者にとって、社会との繋がりを取り戻す貴重な場となるのです。
5. 生きがいと自己肯定感の回復
園芸療法の最も大切な視点は、「できないこと(障害)」ではなく、「できること(能力)」に焦点を当てることです。自分が手をかけた植物が芽を出し、花を咲かせる。その成長を見守り、「お世話をする」という役割を持つことは、「自分はまだ誰かの役に立てる」という大きな自信と生きがいをもたらしてくれます。
今日から始める、あなたのための「小さな庭」

園芸療法の素晴らしい効果は、特別な施設だけで得られるものではありません。あなたの自宅の窓辺やベランダにある、たった一つの鉢植えから始めることができます。
大切なのは、植物を「お世話する対象」として、日々の生活に迎え入れること。毎朝カーテンを開けて、葉の色の変化に気づく。土の乾き具合を指で確かめ、水をあげる。
その室内での小さな関わりが、あなたの日常に新しいリズムと目的を与えてくれます。「できないこと」が増えていくという不安の中で、「できること」が一つ増える喜び。植物は、言葉なくして私たちにその大切な感覚を思い出させてくれる、最高のパートナーなのです。
みんなの生声
関連Q&A
Q.園芸療法の具体的な効果は?
A.園芸療法とは、植物や園芸活動を通じて心身の健康を向上させる専門的なアプローチです。具体的な効果として、①土を混ぜたり種を植えたりする手作業による身体機能の維持、②植物の成長を観察し、クイズなどで昔の記憶を思い出すことによる認知機能の活性化、③植物との触れ合いによる精神的な安らぎ、④共同作業を通じた社会的な繋がりの創出、⑤植物を育てる達成感による生きがいの回復、などが挙げられます。
Q.高齢の親や自分自身の、認知症や身体機能の低下を防ぐ方法は?
A.園芸療法は、認知症予防や身体機能の維持に非常に有効です。植物の世話という目的のある活動は、手指の細かい運動能力(微細運動)や、立ったり座ったりする動き(粗大運動)を自然に促します。また、昔育てた植物の記憶を語り合ったり、次の作業を計画したりすることは、脳にとって良い刺激となり、認知機能の活性化に繋がります
Q.定年後や高齢期の生きがい、楽しみになる?
A.園芸療法は、生きがいを見つけるための素晴らしい手段です。植物は、手をかけた分だけ成長という形で応えてくれます。種が芽吹き、花が咲き、実がなるという生命のサイクルに触れることは、大きな喜びと達成感をもたらします。「お世話をする」という役割を持つことで、自己肯定感が高まり、日々の生活にハリと目的が生まれます。
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まとめ
あらためて、今日の話の要点をおさらいします。
- 園芸療法は、心と体の両面に作用する、科学的根拠のあるアプローチです。
- 「できること」に焦点を当て、役割を持つことが、高齢期の生きがいに繋がります。
- 社会との繋がりや達成感が、認知症予防や孤立感の解消に大きな効果をもたらします。
もうええねん、「何もできることがない」言うて、うつむく必要はないんやで。そないなちっこい種一粒がな、あんたの毎日に、新しい目的と喜びの芽を出してくれる力を持っとるんやから。
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