
この記事では、食事による慢性病治療の専門家、ジョエル・ファーマン博士と神経科学者のロバート・WB・ラブ博士の対談に基づき、健康寿命を伸ばすための本当に正しい食事について解説します。
この記事を読めば、下記3つのことがわかります。
- 多くの医師が見過ごしている、現代医療の落とし穴と、アメリカ人の寿命が縮んでいる衝撃的な理由。
- オリーブオイルは危険?専門医が「体に悪い」と断言する、意外な3つの食品とその科学的根拠。
- がんや認知症を予防する!博士が推奨する奇跡の食事法「G-BOMBS」の具体的な内容とレシピのヒント。
▼ 情報元紹介
- 話し手: ジョエル・ファーマン(Joel Fuhrman)博士、ロバート・WB・ラブ(Robert W.B. Love)博士
- 経歴: ジョエル・ファーマン博士/米国の医学博士・家族医で、栄養医学と自然治癒の権威。「ニュートリタリアン食」を提唱し、がんや心臓病、糖尿病などの病気予防と治癒を食事から目指す臨床・研究で国際的に高い評価を得ている。|ロバート・WB・ラブ博士/アルツハイマー病予防を科学的に追求する米国の神経科学者。ソーシャルメディア総視聴数1億2500万回超の著名インフルエンサーで、NewsweekやJimmy Kimmel Live出演歴も。
- 出典元: Preventing Chronic Disease with Food – Dr. Joel Fuhrman Explains
※この記事は、講演の紹介であり、医学的アドバイスではありません。健康に関する判断は必ず医師にご相談ください。
そのサラダ油、本当に安全?健康診断の「A判定」、信じても大丈夫?

スーパーの油売り場で、たくさんの種類の油を前に、腕を組んで悩んだことはありませんか?「こっちはコレステロールゼロって書いてある」「あっちのオリーブオイルは、テレビで体に良いって言ってたな」。結局、少し値段の高い「健康に良さそう」な油を選んで、なんとなく安心してしまっている。
そんな経験、誰にでもあるはずです。
年に一度の健康診断で、医師から「素晴らしいですね、オールAです!」と太鼓判を押される。その瞬間は、まるで通信簿で良い成績をもらった子どものように嬉しい。でも、心のどこかで、小さな違和感が芽生えていませんか?
「数値は正常だけど、体は正直だるい」「お腹周りの脂肪は、年々落ちにくくなっている」。その、数値には表れない「体感としての不調」。それは、あなたの体が発している、見過ごしてはならないサインかもしれません。その健康診断のA判定は、燃え盛る家の火災報知器のスイッチを、一時的に切っただけかもしれないのです。
いつまで“健康神話”に振り回されつもり?

これは過去の私自身に、後悔と怒りを込めて投げかけている言葉です。
私もかつては、「健康情報」の熱心な信者でした。テレビや雑誌で「体に良い」と紹介されれば、次の日にはスーパーに走り、食卓に並べる。特に「油」にはこだわっていました。揚げ物はヘルシーな植物油で、サラダには高級なエキストラバージンオリーブオイルをたっぷり。それが、健康への近道だと信じて疑いませんでした。
その結果、どうなったか。健康診断の数値はギリギリセーフでも、体重は増え続け、体は常に重く、慢性的な疲労感に悩まされる日々。良かれと思ってやっていたことが、知らず知らずのうちに、私の体を内側から蝕んでいたのです。
お金と時間をかけて、必死に「健康」を追い求めていたのに、気づけば、健康とは真逆の場所に迷い込んでいた。あの時の絶望感は、今でも忘れられません。だからこそ、あなたに伝えたい。本当の健康は、テレビのCMの中にはありません。その答えは、もっとシンプルで、あなたのすぐそばにあるのです。
老化の真犯人は「食事」。これが現代医療の不都合な真実

あなたが抱える不調や、将来の病気への不安。その根本原因は、加齢や遺伝だけではありません。現代の食生活そのものが、私たちの体を「病気になりやすい状態」へと作り変えているのです。
食事による慢性病治療の専門家、ファーマン博士は、現代医療がこの「不都合な真実」から目を背けていると、厳しく指摘します。
その証拠に、世界で最も医療費をかけているアメリカでは、過去50年間で平均寿命が延びるどころか、むしろ低下するという異常事態が起きています。ファーマン博士は、その最大の原因が、加工食品やファストフードの蔓延によるカロリーの過剰摂取と、それに伴う肥満であると断言します。
「健康的な肥満」など存在しない
ファーマン博士は、「健康的な太りすぎの人など存在しない」と断言します。体についた過剰な脂肪、特に内臓脂肪は、単なるエネルギーの貯蔵庫ではありません。それは、常に炎症を引き起こす物質(サイトカイン)を放出し続ける「炎症工場」なのです。
この慢性的な炎症こそが、がん、糖尿病、心臓病、認知症、自己免疫疾患といった、ほぼすべての慢性病の引き金となります。そして、過剰な脂肪は、女性ホルモンであるエストロゲンの産生を促し、乳がんや前立腺がんのリスクを高めることも分かっています。たとえ体重が標準でも、お腹周りが気になる方は注意が必要です。
「カロリーラッシュ」という中毒
なぜ私たちは、体に悪いと分かっていながら、食べ過ぎてしまうのでしょうか。博士はその原因を「カロリーラッシュ」という現象で説明します。
油、砂糖、そして白い小麦粉といった精製された食品は、一度に大量のカロリーを血中に送り込み、脳の快楽中枢(ドーパミンなど)を強力に刺激します。これは、薬物が脳に与える刺激と非常によく似ています。この強い快感を一度経験すると、脳はさらに強い刺激を求めるようになり、満足感を得るためにより多くのカロリーを欲するようになります。これが「食欲中毒」の正体です。リンゴでは満足できず、アイスクリームや揚げ物を求めてしまうのは、あなたの脳が「カロリーラッシュ」に依存してしまっているサインなのです。
良かれと思って食べていた?専門医が「体に悪い」と断言する3つの食品
さらにファーマン博士が「糖尿病リスクを高めるワースト3」として挙げる食品は、あなたの食卓にも当たり前のように並んでいるものかもしれません。
- 砂糖・甘味料(蜂蜜、アガベシロップも含む)
砂糖が体に悪いことは誰もが知っています。しかし、博士が問題視するのは、白砂糖だけではありません。「健康的」なイメージのある蜂蜜、メープルシロップ、アガベシロップといった天然の甘味料も、体にとっては同じ「糖」であり、血糖値を急上昇させ、肥満や糖尿病の原因となることに変わりはないのです。特にアガベシロップは、健康食品を装った「高果糖コーンシロップ」のようなものだと、博士は厳しく指摘します。 - 精製された小麦粉(白いパン、パスタなど)
「白い小麦粉は、食べ物ではなく“ドラッグ”だ」。博士はそう断言します。精製された小麦粉は、栄養素である食物繊維やビタミン、ミネラルが取り除かれており、体内で砂糖とほぼ同じように吸収されます。血糖値を急上昇させるだけでなく、脳の報酬系を刺激し、強い中毒性を引き起こします。「パンがやめられない」のは、あなたの意志が弱いからではなく、小麦粉が持つ中毒性のせいなのです。 - 油(オリーブオイルも含む)
「オリーブオイルは体に良い」と信じている人は多いでしょう。しかし、博士の意見は全く逆です。「オリーブオイルは危険です」とさえ言い切ります。 油は100%脂肪であり、カロリーの塊です。スプーン1杯の油を食事に加えるだけで、カロリーは急上昇。血中に流れ込んだ過剰なカロリーは、すぐに脂肪として蓄えられます。さらに、油は食欲を刺激し、満腹感を得にくくさせるため、結果的に食べ過ぎにつながります。博士は、健康的な体重を維持し、病気を予防するためには、調理に油を一切使わない「SOSフリー(砂糖・油・塩を使わない)」の食生活を推奨しています。
自分の体の状態、客観的に知っていますか?
健康診断の数値だけでは見えない、体のリスクがあります。栄養バランスの乱れや、がん、生活習慣病のリスクなど、最新の検査キットなら自宅で手軽にチェックできます。まずは自分の体を正しく知ることから始めましょう。
解決策は「引き算」。今日から始める究極の食事術

では、この負のスパイラルから抜け出し、真の健康を取り戻すにはどうすれば良いのでしょうか。その解決策は、何か特別なものを「足し算」することではありません。むしろ、これまで良かれと思って摂ってきたものを「引き算」することから始まります。
ファーマン博士が提唱する「ニュートリタリアン (Nutritarian) ダイエット」の基本は、「SOSフリー」、つまり砂糖 (Sugar)、油 (Oil)、塩 (Salt) を食事から徹底的に排除することです。
「SOSフリー」で味覚が蘇る
「油も塩もなしなんて、味がなくて食べられない!」そう思うかもしれません。しかし博士は、「それはあなたの味覚が、塩と砂糖によって麻痺しているだけだ」と言います。3ヶ月間SOSフリーを続けると、鈍っていた味覚がリセットされ、野菜本来の甘みや、ハーブの豊かな香りといった、食べ物が持つ繊細なシンフォニーを楽しめるようになります。
老化を止める魔法の合言葉「G-BOMBS」
そして、引き算をした後に、積極的に食卓に加えるべきものが、博士が「G-BOMBS」と呼ぶ6つの食品群です。これらは、科学的に最も強力な抗がん作用とアンチエイジング効果が確認されている、まさに「命の食べ物」です。
- G – Greens (緑の葉物野菜): 免疫機能の正常化とデトックスの王様。
- B – Beans (豆類): 血糖値を安定させる良質なタンパク源。
- O – Onions (玉ねぎ類): 強力な抗がん作用を持つ。
- M – Mushrooms (きのこ類): 免疫のバランスを整える。
- B – Berries (ベリー類): 脳の老化を防ぐ抗酸化物質の宝庫。
- S – Seeds (種子類): くるみや亜麻仁など、良質なオメガ3脂肪酸。
サラダのドレッシングは、オリーブオイルの代わりに、くるみやごまをブレンダーにかけて作る。炒め物は、油の代わりに少量の水や野菜だしで蒸し煮にする。甘みが欲しければ、砂糖の代わりにバナナやデーツを使う。このシンプルなルールを守るだけで、あなたの体は内側から劇的に変わり始めます。
みんなの生声
関連Q&A

Q. どの食事バランスが健康寿命を最も伸ばすか知りたい
A. 「主食・主菜・副菜」という比率よりも、栄養密度の高い植物性食品を食事の中心に据えることが重要です。ファーマン博士は、老化を防ぎ病気を遠ざける「G-BOMBS」(緑黄色野菜、豆、玉ねぎ、きのこ、ベリー、種子)を毎日豊富に摂り、砂糖・油・塩を排除する食事を推奨しています。
Q. 食塩や肉類を控えると具体的にどれくらい寿命が延びるか
A. ファーマン博士は、人間の本来の平均寿命は97〜107歳であるべきだと述べます。具体的な年数を算出するのは困難ですが、高血圧やがんのリスクを高める塩分、炎症を促進する動物性脂肪を排除することは、病気で寿命を縮める要因を取り除き、この理想的な健康寿命に近づくための最も重要なステップです。
Q. 「主食+主菜+副菜」の組み合わせで何を意識すれば良いか
A. 伝統的な「主食+主菜+副菜」の考え方から一歩進み、お皿の大部分を「G-BOMBS」で満たすことを意識しましょう。主食は白米でなく玄米や豆類に、主菜は肉や魚ではなく具沢山のサラダや野菜の蒸し煮に。副菜でさらなる野菜やきのこを追加することが、健康寿命を伸ばす食事の基本です。
まとめ
あらためて、今日の話の要点をおさらいします。
- 健康診断の数値が良くても安心は禁物。薬は病気の根本原因を解決しない。
- 砂糖・油・塩の「SOS」は老化を加速させる。健康的なイメージの食品にも罠がある。
- 最高のアンチエイジングは「G-BOMBS」。栄養豊富な植物の力が、あなたを病気から守る。
これまでの食生活を振り返り、「自分は間違っていたのかも…」と少し落ち込んだかもしれません。でも、気づいた「今」が、あなたの人生で一番若い日です。今日から、スーパーでのお買い物が、未来の自分への最高の投資に変わります。