
このニュースは、2025年7月28日、アメリカのボストン市で、住む場所によって寿命が20年も違うという衝撃的な事実が報告され、市がその格差是正に乗り出したという、海外の話ですわ。生まれた場所が違うだけで、そんなに人生が変わってしまうなんて、ほんまにあってはならんことやと、わしは思うんよ。
このニュースの要点は、下記3つです。
- 米国ボストン市で、富裕層地区と低所得者地区の間に、最大20年以上の平均寿命の差があることが判明しました。
- 市は、この健康格差の原因を経済的な問題と捉え、是正のために500万ドルの資金提供を発表しました。
- 資金は、キャリア訓練や食料支援を行う地域のNPOなどに分配され、住民の経済的自立を支援します。
目次
「寿命差20年」という衝撃の事実
米国マサチューセッツ州のボストン市で、住む地域によって平均寿命に極めて大きな差があることが、改めて浮き彫りになりました。
市の保健委員会の発表によると、市内で最も裕福な地区の一つであるバックベイの住民の平均寿命が92歳であるのに対し、主に黒人住民が多く住むロクスベリー地区の住民は、それより23年も早く亡くなっています。
この深刻な事態を受け、ミシェル・ウー市長 (Mayor Michelle Wu) は、この「健康格差」を2035年までに解消することを目標に掲げ、500万ドル(約7.5億円)の助成金を提供することを発表しました。
健康格差の根深い原因とは?「これは国家的な悲劇だ」
ボストン市の保健委員長であるビソラ・オジクトゥ氏 (Bisola Ojikutu) は、「あなたがどれだけ長く生きるかが、人種や郵便番号に依存すべきではありません」と述べ、この問題の根深さを訴えています。
これらのデータのどれも新しいものではなく、ボストンに特有のものでもありません。これは国家的な悲劇であり、私たちがここボストンでこの格差を埋めるために注ぐべき注目に値するものです。
市当局は、健康格差の直接的な原因を、糖尿病や心臓病といった「カーディオメタボリック疾患」による早期死亡と見ていますが、そのさらに根本には、貧困、不十分な住居、飢餓といった経済的な問題が存在すると分析しています。
ボストン市の具体的な対策:「医療」ではなく「生活」を支援する
今回発表された500万ドルの助成金は、病院や診療所ではなく、地域に根差した12の組織に分配されます。その中には、ボーイズ&ガールズクラブや、地域のフードコープ(食料品協同組合)、移民を支援する団体などが含まれています。
彼らが行うのは、医療行為ではありません。
- キャリア訓練や英語指導
- 家計相談や信用創造などの金融コーチング
- 食料配布や一次医療へのアクセス支援
といった、住民の経済的な自立を直接支援する活動です。ウー市長は、「人々を健康にするもの、つまり住居、栄養価の高い食物へのアクセス、経済的流動性に投資するのです」と、その狙いを明確に語っています。
比較して見えてくるポイント
このボストン市の取り組み、日本の状況と比較すると、そのアプローチの違いと共通の課題が見えてきます。
アプローチ法
米国ボストン市 | 日本 |
「健康問題の根源は経済にある」と断定。医療そのものではなく、キャリア訓練や食料支援といった経済的自立を直接支援する、非常に大胆なアプローチです。 | 特定健診(メタボ健診)などで生活習慣の改善を指導するのが中心。経済的な問題に直接介入するより、個人の行動変容を促すアプローチが主です。 |
課題の深刻さ
米国ボストン市 | 日本 |
人種間の所得格差が、そのまま寿命の格差に直結しています。中央値で2倍以上の所得差があり、問題の根深さがうかがえます。 | 日本でも、所得や地域による健康格差は大きな問題となっています。特に地方の高齢化と経済の停滞は、格差をさらに拡大させる要因です。 |
ボストン市の直接的な経済介入が成功すれば、日本の健康政策にとっても重要なモデルケースとなるかもしれません。
このボストン市のニュースは、遠い国の話ではありません。
日本でも、所得水準や居住地域によって平均寿命や健康寿命に差があることは、多くの調査で明らかになっています。
ウー市長は、「人々を健康にするもの、つまり住居、栄養価の高い食物へのアクセス、経済的流動性に投資する」と語りました。これは、健康が、単に病院に行けば手に入るものではなく、日々の安定した暮らしそのものの上に成り立つという、極めて重要な事実を私たちに再認識させてくれます。
重要キーワード
「健康格差」とは?
住む地域や社会経済的な状況、人種といった、本人にはどうすることもできない要因によって、健康状態に差が生じることです。この記事では、ボストン市内の地区間で最大20年以上という、極めて大きな寿命の差として現れています。単なる個人の健康問題ではなく、社会全体の構造的な問題として捉えられています。
「カーディオメタボリック疾患」とは?
心臓病、脳卒中、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった、心血管系と代謝系の疾患群の総称です。これらは生活習慣と密接に関連しており、不健康な食事や運動不足、ストレスなどが主な原因となります。ボストン市では、65歳未満の早期死亡の主な原因として、この疾患群が挙げられています。
みんなの生声
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- 米国ボストン市で、富裕層地区と低所得者地区の間に、最大20年以上の平均寿命の差があることが判明しました。
- 市は、この健康格差の原因を経済的な問題と捉え、是正のために500万ドルの資金提供を発表しました。
- 資金は、キャリア訓練や食料支援を行う地域のNPOなどに分配され、住民の経済的自立を支援します。
あなたに問う
「健康でいたかったら、運動しなさい、ええもん食べなさい」て、よう言いますわな。わしも、口癖みたいに言うてしまう。
せやけどな、日々の暮らしに追われとったら、自分の体のことなんて、後回しになってしまう気持ち、よう分かるんよ。
健康は、確かに自分のもんや。せやけど、一人だけで頑張るもんやないんかもしれへんな。困った時に「助けて」と言える人がおったり、安心して暮らせる場所があったり。そういう周りの支えがあって初めて、人は自分の体を大事にできるんとちゃうかな。
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