
「若返りの薬、開発成功!」なんてニュースを見るたび、「どうせ自分には関係ない、遠い未来の話でしょ」と、冷めた目で見がちな今日この頃。スペインから少しだけ現実味のある、それでいて夢のあるニュースが届きました。遺伝子治療で老化に挑む科学の最前線、覗いてみませんか?
このニュースの要点は、下記3つです。
- スペインの研究チームが、クロトー(Klotho)タンパク質を増やす遺伝子治療で、マウスの寿命を最大20%延長させることに成功しました。
- この治療により、マウスは単に長生きするだけでなく、筋力、骨密度、認知機能といった健康状態も改善しました。
- この技術は将来、人間への応用も期待されますが、安全な投与方法の確立など、まだ課題も残されています。
▼ 出典元
New Anti-Aging Gene Therapy Extends Lifespan by up to 20%
2025年、スペインから届いた長寿研究のブレークスルー
この研究成果が学術誌『Molecular Therapy』で発表されたのは、2025年2月22日。発表したのは、スペインのバルセロナ自治大学神経科学研究所(INc-UAB)に所属する、ミゲル・チロン(Miguel Chillón)教授が率いる国際研究チームです。世界中の研究者がしのぎを削る長寿研究の分野で、また一つ大きな一歩が踏み出されました。
国際研究チームが、「クロトー」遺伝子治療でマウスの寿命を最大20%延長
チロン教授らのチームが行ったのは、体内で自然に作られる「クロトー(Klotho)」というタンパク質を、遺伝子治療によって増やす、というアプローチです。
この治療を受けたマウスは、何もしていないマウスに比べて、寿命が15%から20%も長くなることが確認されました。さらに重要なのは、単に長生きしただけでなく、人間で言えば70歳に相当する高齢になっても、筋力や骨密度、そして認知機能までもが高いレベルで維持されていたことです。これは、健康寿命を大きく延ばせる可能性を示しています。
誰もが直面する「衰え」という課題に、科学はどう立ち向かうのか
そもそも、なぜこのような研究が行われているのでしょうか。それは、私たちが「年のせい」という言葉で片付けている、避けることのできない問題に、科学が正面から向き合おうとしているからです。
年を取れば、誰でも筋力は落ち、骨はもろくなります。物忘れもひどくなる。これが、転倒による骨折や、アルツハイマー病、パーキンソン病といった神経変性疾患に繋がります。人生100年時代と言われても、最後の10年、20年が不健康で辛いものだとしたら、それは決して幸せとは言えません。
チロン教授は、「私たちは以前から、神経変性疾患の治療法としてクロトータンパク質の可能性に注目してきました。今回の研究では、健康な老化そのものにも有益かどうかを、幅広い要素から検証したかったのです」と語ります。
遺伝子治療ベクターが、体内で“若返りタンパク”を作り出す
では、具体的にどうやってクロトータンパク質を増やしたのでしょうか。
研究チームが用いたのは、「遺伝子治療ベクター」という技術です。これは、運び屋となる無害化したウイルスを使って、クロトータンパク質の設計図(遺伝子)を体内の細胞に届け、細胞自身に目的のタンパク質を作らせる、という仕組みです。
今回の研究では、このベクターを静脈注射や脳への直接投与でマウスに与えました。その結果、脳の免疫細胞が活性化し、新しい神経細胞の形成が促されるなど、顕著な効果が確認されたのです。研究者は、「静脈注射で脳に届くベクターを使えば、人間への応用もより安全かつ容易になるでしょう」と、将来への期待を語っています。
みんなの生声
Aさん(60歳・男性)遺伝子治療で寿命が延びるなんて、すごい時代になったもんだ。でも、正直ちょっと怖い気もするな。副作用とか、予期せぬ影響はないのかね。
小藪@Aさん その慎重さ、非常に大事ですよ。新しい技術には、必ず光と影がありますからね。すぐに飛びつくのではなく、まずは専門家の意見を聞けるオンライン診療などで、正しい情報を集めるのが賢明です。
Bさん(45歳・女性)親の介護で、骨粗しょう症の怖さを痛感しています。女性は特に骨密度が下がりやすいって聞くし、この治療が人間にも使えるようになるなら、本当に希望が持てます。
小藪@Bさん 本当ですね。ただ、その未来を待つ間にも、私たちの骨は静かに弱っていきます。遺伝子治療はまだ先の話。今は、日々の食事でカルシウムを意識したり、骨を強くする健康サプリを検討したりと、今できることを始めるのが一番ですよ。
Cさん(52歳・男性)認知機能が改善する可能性があるのは魅力的だな。最近、物忘れがひどくて、将来が不安だったから。新しい資格の勉強でも始めて、脳に刺激を与えないとダメかな。
小藪@Cさん 素晴らしい心がけです。脳は、使えば使うほど若さを保つと言いますからね。新しいことを学ぶのは、最高の脳トレです。オンライン講座なら、手軽に始められますよ。
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- スペインの研究チームが、クロトー(Klotho)タンパク質を増やす遺伝子治療で、マウスの寿命を最大20%延長させることに成功しました。
- この治療により、マウスは単に長生きするだけでなく、筋力、骨密度、認知機能といった健康状態も改善しました。
- この技術は将来、人間への応用も期待されますが、安全な投与方法の確立など、まだ課題も残されています。
さて、あなたはどう感じましたか?
「遺伝子治療」と聞くと、まるでSFの世界のようですが、科学は着実に、私たちが「老化」と呼ぶ巨大な壁に挑み続けています。その壁が、いつか崩れる日が来るかもしれない。そう信じるだけでも、少しだけ未来が明るく見えませんか?