
この記事では、消化器病と肝臓の専門医マリベル・リサルサヴァル博士の解説に基づき、多くの日本人が抱える「脂肪肝を食事で改善」するための科学的アプローチについて解説します。
この記事を読めば、下記3つのことがわかります。
- なぜお酒を飲まなくても脂肪肝になるのか?専門医が語る、アルコール以外の意外な原因。
- 脂肪肝改善に薬はない!科学的に唯一効果が証明された、根本的な治療法とは何か。
- コーヒーが肝臓を救う?ブロッコリーや豆類など、脂肪肝改善に本当に効果のある食べ物リスト。
▼ 情報元紹介
- 話し手: マリベル・リサルサヴァル(Maribel Lizarzábal)博士
- 経歴: ベネズエラ出身の消化器専門医・ヘルスコーチ。中央ベネズエラ大学で消化器学修士号、ルス大学で医学博士号を取得。47年以上の診療経験を持ち、とくに35歳以上の女性の新陳代謝活性化やアンチエイジング支援に注力している。米国認定のヘルスコーチ資格も保有し、SNSや講演活動でも活躍。ベネズエラ消化器学会元会長。積極的に啓発活動を行い、国内外で高い評価を受けている。
- 出典元: 🔴7 recomendaciones para mejorar el hígado graso según evidencia científica – LIVE con Johana Clavel
※この記事は、講演の紹介であり、医学的アドバイスではありません。健康に関する判断は必ず医師にご相談ください。
健康診断の「脂肪肝ですね」、軽く考えていませんか?

「肝臓に少し脂肪がついていますね。まあ、お酒を控えて、少し運動してください」
健康診断で、医師からこんな風に言われた経験はありませんか?痛みもかゆみもないし、日常生活に支障もない。「また来年の検診で気をつけよう」。そう思いながら、結局何も変えられないまま、一年が過ぎていく。
でも、本当にそれで大丈夫なのでしょうか?
「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓。その言葉の通り、肝臓はダメージを受けても、なかなか悲鳴を上げてはくれません。あなたが「大したことない」と思っているその脂肪肝は、実はあなたの肝臓が、声にならない声で発している「最後の警告」なのかもしれません。
このまま見て見ぬふりを続けた先に、肝硬変や肝がんといった、後戻りできない未来が待っているとしたら…。その静かな恐怖こそ、今すぐあなたを行動へと駆り立てるべき、最も重要なサインなのです。
いつまで「とりあえず禁酒」で満足しますか?私はそれで根本原因を見逃していました

一体、いつまで「脂肪肝=お酒の飲み過ぎ」という、単純すぎる思い込みに囚われ続けるつもりですか?
厳しい言葉に聞こえたら、本当に申し訳ありません。でも、これは過去の私自身に、そして「お酒は飲まないのに、なぜ?」と悩む多くの人々に伝えたい、心の叫びなのです。
私もかつては、「脂肪肝の対策は、とりあえずお酒をやめることだ」と信じていました。しかし、禁酒をしても、健康診断の数値は一向に改善しない。なぜだ、どうしてだ、と悩む日々。
本当の敵は、アルコールだけではなかったのです。私が毎日食べている白いご飯、甘い菓子パン、そして「健康に良い」と信じて使っていたハーブサプリメント…。良かれと思って続けていた食生活そのものが、私の肝臓を静かに蝕んでいたことに、私は全く気づいていませんでした。
だからこそ、あなたに伝えたい。脂肪肝は、あなたのこれまでの生活習慣全体を映し出す「鏡」です。本当の原因から目を背け、小手先の対策だけで満足していては、いつか取り返しのつかない事態を招いてしまうのです。
脂肪肝は「万病の元」。これが“沈黙の警告”の正体

脂肪肝とは、肝臓の細胞の5%以上が脂肪に置き換わった状態です。肝臓専門医であるマリベル・リザード・サヴァル博士は、この状態を放置することが、いかに危険であるかを強調します。
肝臓の悲劇的な末路
- 脂肪肝: 自覚症状はほぼない。
- 脂肪肝炎: 脂肪が原因で肝臓に炎症が起きる。
- 線維化: 炎症が続くと、肝臓が硬くなっていく。
- 肝硬変: 肝臓が本来の機能を失い、元に戻れなくなる。
- 肝がん: 肝硬変から、がんが発生するリスクが飛躍的に高まる。
この恐ろしい連鎖を断ち切るために、まず知るべきは、その根本原因です。
お酒だけじゃない!脂肪肝の意外な原因
- メタボリックシンドローム: 肥満、高血圧、インスリン抵抗性、脂質異常症の組み合わせが、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の最大の原因です。
- 薬やサプリメント: イブプロフェンなどの鎮痛薬や、抗生物質の乱用、そして安全性が確認されていないハーブサプリメントが、肝臓にダメージを与えることがあります。
- 腸内環境の悪化: 腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)は、肝臓の代謝に直接的な悪影響を及ぼします。
そして、脂肪肝の唯一の目に見えるサインが「腹部脂肪」です。お腹周りの脂肪は、体内の臓器に収まりきらなくなった「内臓脂肪」が溢れ出してきた証拠。それは、あなたの肝臓が限界に達していることを示す、赤信号なのです。
あなたの「肝臓リスク」、見えていますか?
自覚症状がないからこそ、客観的なデータで自分の状態を知ることが重要です。血液検査だけでは分からない、生活習慣病やがんのリスクを、自宅で手軽にチェックできる検査キットで把握しませんか?
解決策は「ライフスタイル改善」。専門医が教える7つの科学的処方箋
「脂肪肝に効く薬はないのですか?」
博士によれば、その答えは明確に「NO」です。2021年時点の科学的コンセンサスとして、脂肪肝に対する唯一効果が証明されている治療法は、「ライフスタイルの改善」であると断言します。
では、具体的に何をすれば良いのでしょうか。博士が推奨する7つの科学的処方箋を紹介します。
- 食事:緑の地中海式ダイエット
持続可能性の観点から、野菜、果物、豆類、青魚、ナッツを中心とした食事が推奨されます。特にブロッコリーや生のほうれん草は、肝臓の炎症を抑える効果が報告されています。 - 避けるべき食品:小麦・米・トウモロコシ
最初の3ヶ月間は、血糖値を急上昇させ、脂肪に変わりやすい小麦・米・トウモロコシを完全に断ち、主食をサツマイモなどの複合炭水化物に置き換えることを強く推奨しています。 - 運動:有酸素運動+筋トレ
痩せている人でも運動は必須です。筋肉は糖を消費する最大の器官。ウォーキングなどの有酸素運動に加え、筋肉を鍛えることで、脂肪が燃えやすい体を作ります。 - 睡眠:7時間以上の質の高い睡眠
質の高い睡眠は、食欲をコントロールするホルモンバランスを整え、肝臓が自己修復するための重要な時間です。 - 毒素の回避:不必要な薬やサプリを避ける
安易な鎮痛薬や抗生物質、出所の分からないハーブサプリの摂取はやめましょう。 - 感情の管理:瞑想とマインドフルネス
怒りや悲しみといったネガティブな感情は、神経化学物質を介して肝臓にダメージを与えます。瞑想などで心を落ち着け、ストレスを管理することが、肝臓をいたわることに繋がります。 - コーヒー:1日2〜3杯の習慣
驚くべきことに、無糖・ミルクなしのコーヒーは、血糖値のコントロール、肝臓の炎症と線維化の改善に効果があることが、多くの研究で示されています。
みんなの生声
関連Q&A

Q. 脂肪肝改善に最も効果的な生活習慣は何か?
A. 最も効果的なのは「食事の見直し」と「運動」の組み合わせです。特に、糖質(白いご飯、パン、甘い物)と脂質(揚げ物、加工食品)を制限し、野菜や青魚、豆類を中心とした地中海式の食事に切り替えることが推奨されます。これに週3回以上のウォーキングなどの有酸素運動と、筋力トレーニングを加えることで、肝臓の脂肪を効率的に減らし、再発を防ぐことができます。
Q. 体重減少は脂肪肝にどれほど影響するか?
A. 体重減少は、脂肪肝改善に非常に大きな影響を与えます。一般的に、体重を7%〜10%減らすことで、肝臓の脂肪量が大幅に減少し、肝臓の炎症も改善することが多くの研究で示されています。無理なダイエットではなく、月に1〜2kg程度の持続可能なペースでの減量が、リバウンドを防ぎ、肝臓への負担も少ないため理想的です。
Q. 食事と運動、どちらを優先すべきか?
A. どちらも重要ですが、多くの専門家はまず「食事の改善」を優先すべきだと考えています。運動だけで消費できるカロリーには限界があるため、日々の食事から過剰な糖質や脂質を減らす方が、肝臓に脂肪が蓄積されるのを防ぐ上でより直接的で効果的です。食事改善で体重を減らし始め、それに運動を組み合わせるのが最も効率的なアプローチと言えるでしょう。
まとめ
あらためて、今日の話の要点をおさらいします。
- 脂肪肝は自覚症状のない「サイレントキラー」。放置は肝硬変やがんのリスクを高める。
- 脂肪肝に効く特効薬はない。唯一科学的に証明された治療法は、ライフスタイルの改善のみ。
- 食事、運動、睡眠、ストレスケアという包括的なアプローチが、沈黙の臓器を救う鍵。
「まだ大丈夫」。その根拠のない自信が、あなたの肝臓を静かに、しかし確実に蝕んでいきます。この記事を読んだ「今日」が、あなたの人生で一番若い日であり、未来を変えるための最良のスタート地点です。