
「がん検診は、面倒だったり、怖かったりするので、また今度にしよう」。そのように、つい先延ばしにしてはいないでしょうか。お隣の台湾から、その「また今度」という判断が、ご自身の寿命を縮めている可能性を示唆するデータが発表されました。台湾のニュースメディアが報じた、がん検診の驚くべきメリットについて紹介します。
このニュースの要点は、下記3つです。
- 台湾の専門機関が、がん検診を定期的に受ける人は受けない人より平均寿命が約3年長いと発表したこと。
- 特に複数の検診を組み合わせることで、寿命が8〜9年延びる可能性があると示唆されていること。
- 寿命だけでなく、早期発見・治療により生活の質(QOL)を保ち、結果的に医療費負担も軽減する経済的メリットがあること。
▼ 出典元
Cancer screening extends life expectancy: experts
平均寿命が3年延びるという「確かなデータ」
2025年7月、台湾の衛生福利部国民健康署 (HPA) と台湾メディカルスクリーニング協会は、がん検診の効果に関する共同分析の結果を発表しました。これは、個人の体験談や希望的観測ではなく、長年にわたる国家レベルの検診データを基にした、極めて信頼性の高い分析です。
その結果は、衝撃的でした。
- 乳がん検診を定期的に受ける女性は、受けない人に比べて平均寿命が3.38年長い。
- 大腸がん検診(便潜血検査)を定期的に受ける人は、平均寿命が3.1年長い。
- 子宮頸がん検診を定期的に受ける女性は、平均寿命が2.33年長い。
さらに、同協会の許辰陽 (Hsu Chen-yang) 理事長は、乳がん、大腸がん、子宮頸がんの検診をすべて定期的に受けている女性は、一度も受けたことがない人と比較して、平均寿命が8年から9年も延びる可能性があると付け加えています。
これは、「検診を受ければ長生きできる」という漠然としたイメージを、具体的な数字で裏付けた画期的なデータです。
検診は未来の自分と家族への「最高の投資」
がん検診のメリットは、単に寿命が延びるという数字だけの話ではありません。台湾大学の専門家、陳秀熙 (Tony Chen) 教授は、「がん検診は人々の生活の質(QOL)も向上させる」と指摘します。
なぜなら、多くのがんは初期段階では自覚症状がなく、症状が出た時にはすでに進行しているケースが多いからです。早期の段階で発見できれば、体への負担が少ない治療で完治できる可能性が非常に高くなります。これは、後期がんに伴う深刻な合併症や障害、長期入院といった、本人と家族の肉体的・精神的・経済的な苦しみを未然に防ぐことを意味します。
同協会の試算では、がん検診による寿命延長の経済的価値は、大腸がんだけで1943億ドル(約31兆円)にも上るとされています。
検診は、未来の自分と、そして大切な家族の笑顔を守るための、最も賢明で効果的な「自己投資」なのです。
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- 台湾の専門機関が、がん検診を定期的に受ける人は受けない人より平均寿命が約3年長いと発表したこと。
- 特に複数の検診を組み合わせることで、寿命が8〜9年延びる可能性があると示唆されていること。
- 寿命だけでなく、早期発見・治療により生活の質(QOL)を保ち、結果的に医療費負担も軽減する経済的メリットがあること。
検査に費やす時間は、わずか数時間です。それによって得られるのは、数年という寿命と、何物にも代えがたい安心ではないでしょうか。さて、あなたはどちらを選びますか。今日、予約のためにかける一本の電話が、あなたの未来を変えることになるのかもしれません。