
この記事では、究極のアンチエイジングで知られるブライアン・ジョンソン氏が自身のポッドキャストで語った睡眠戦略を基に、「睡眠こそが最強の能力向上剤」である理由と、その質を上げるための具体的な方法を解説します。
この記事を読めば、下記3つのことがわかります。
- あなたの意志力が弱いのは、実は睡眠の質が原因かもしれない理由
- 睡眠スコアより重要。「就寝前の安静時心拍数」という新指標
- 今日から実践できる、ブライアン・ジョンソン式の睡眠改善法
▼ 情報元紹介
- 話し手: ブライアン・ジョンソン(Bryan Johnson)氏
- 経歴: アメリカの起業家、ベンチャーキャピタリスト、作家で、Braintreeの創業者兼元CEOとして知られています。BraintreeはVenmoを買収し、その後PayPalに約8億ドルで売却されました。彼はまた、脳活動を測定するデバイスを開発するKernelや、先端科学スタートアップに投資するOS Fundの創設者でもあります。近年は、個人のバイオメトリクスを解析し生物学的年齢を逆転させる「Blueprint」というアンチエイジングプロジェクトを推進しています。
- 出典元: Vitamin B12 Is Critical for Cellular Reprogramming
※この記事は、講演の紹介であり、医学的アドバイスではありません。健康に関する判断は必ず医師にご相談ください。
Table of Contents
もし、あなたの意志力の弱さが「睡眠負債」のせいだとしたら?

夜中に、ついポテトチップスの袋を開けてしまう。
「あと5分だけ」と見始めたSNSが、気づけば1時間経っている。そのたびに、自分はなんて意志が弱いんだと自己嫌悪に陥る…。40代に差し掛かり、そんな経験が増えてきてはいませんか?
もし、その原因があなたの気合や根性の問題ではなく、単に「質の悪い睡眠」によって脳の衝動制御機能が低下しているだけだとしたら。
睡眠は、ただ休むだけの時間ではありません。それは、あなたの意志力や決断力、ひいては人生の成功そのものを左右する、最も強力な「薬」なのです。
なぜ、あらゆる健康法を試しても、朝の倦怠感は消えなかったのか?

分かります。私も、これまであらゆることを試してきました。
瞑想アプリ、高級なサプリ、寝る前のストレッチ…。しかし、ウェアラブルデバイスが示す睡眠スコアは一向に改善せず、朝の倦怠感は消えない。スコアが悪い日は、朝から「今日はダメだ」と気分まで落ち込む始末。
一体、何が間違っているのか?
私は、この出口のない迷路で悩み続けました。しかし、ブライアン・ジョンソン氏の言葉が、その全てを覆したのです。彼が本当に見ていたのは、睡眠の「結果」であるスコアではありませんでした。その「原因」となる、たった一つの指標だったのです。
睡眠の質を上げる方法:ブライアン・ジョンソンの超過酷な睡眠戦略10選

ブライアン・ジョンソン氏は、睡眠を「プロの技術」と捉え、その質を最大化するために生活の全てを最適化しています。その中心にあるのが、「就寝前の安静時心拍数を下げる」というただ一つの目標です。心拍数が低い状態で眠りにつくほど、体はリラックスし、回復の準備が整っているからです。彼が実践する10の戦略を見ていきましょう。
①意識改革:「プロの睡眠家」になる
まず、睡眠を「仕事と同じくらい真剣に取り組むべき技術」と位置づけます。就寝時間を会議の開始時間のように厳守し、数分でも遅れたら自分自身への裏切りだと認識する。この精神的な構えが、全ての基本となります。
②最後の食事は就寝の4時間以上前
消化活動は心拍数を著しく上昇させ、睡眠の質を下げます。彼は最低4時間、理想は8時間前に最後の食事を終えます。特に、パスタやピザのような重い食事は、心拍数を長時間高いまま維持させてしまうため厳禁です。
③30〜60分のクールダウンを義務化
仕事からベッドへ直行するのは最悪です。就寝前の30〜60分はスクリーンを完全に断ち、読書、散歩、瞑想など、心と体を落ち着かせる「クールダウン」の時間を設けることが、心拍数を下げる鍵となります。
④起床後すぐに太陽光を浴びる
起床後30分以内に太陽光を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜の正しい時間に眠気が訪れるようになります。曇りの日でも屋外に出るだけで十分な効果があります。
⑤就寝時間を1分単位で固定する
体が「もうすぐ眠る時間だ」と予測できるように、毎晩全く同じ時間にベッドに入ります。彼は8ヶ月間、就寝時間を±1分の精度で守り続けた結果、驚くほど入眠がスムーズになったと語ります。
⑥カフェインの半減期を理解する
カフェインの半減期は約6時間。午後4時に飲んだコーヒーのカフェインは、半分の量が午後10時になっても体内に残っています。カフェインを摂るなら、午前中が限界です。
⑦夜はブルーライトを徹底的に排除
夜間にブルーライトを浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されます。スクリーンをオフにするのが理想ですが、難しい場合はブルーライトカットのツール(Fluxなど)や、デバイスの赤色モードを活用します。
⑧寝室は涼しく保つ
体は、深部体温が下がることで眠りに入ります。涼しいと感じるくらいの室温(摂氏20〜22度程度)が、質の高い睡眠には理想的です。彼は温度制御マットレスまで使用し、最適な温度を維持しています。
⑨ノイズを遮断し、平和な環境を作る
騒音は、たとえあなたが意識していなくても睡眠を浅くします。耳栓や、環境音を相殺するサウンドマシンなどを活用し、静かな環境を確保することが重要です。パートナーのいびきや寝返りも例外ではありません。
⑩ウェアラブルで自分の「敵」を知る
Apple WatchやOura Ringなどのデバイスを使い、どんな行動が自分の心拍数を上げ、睡眠の質を下げているのかを客観的に学びます。「アルコールを飲むと睡眠が浅くなる」といった発見を積み重ねることが、行動変容に繋がります。
まずは10%改善から。凡人ができる「プチ・ブライアン式」睡眠改善法

彼の方法はあまりに過激で、真似できないと感じたかもしれません。しかし、重要なのはそのエッセンスです。全てを完璧にこなす必要はありません。まずは「就寝前の安静時心拍数を10%下げる」ことを目標に、できそうなことから始めてみましょう。
①心拍数を測り、自分の「敵」を知る
何よりもまず、現状把握です。ウェアラブルデバイスがなくても、就寝前にリラックスした状態で、首筋に指を当てて脈を測ってみましょう。「6秒間の拍数×10」で、おおよその心拍数がわかります。
そして、その日の行動(遅い食事、寝る前の飲酒、仕事のストレスなど)と心拍数の関係を記録します。これにより、あなたの睡眠の質を最も下げている「最大の敵」が誰なのかが見えてきます。
②寝る前の30分「聖域」を作る
ブライアン氏の戦略の中で、最も効果的で真似しやすいのがクールダウンです。就寝前の30分間を「聖域」と定め、仕事やスマホ、悩み事から完全に自分を切り離す時間を作りましょう。
温かいハーブティーを飲む、好きな音楽を聴く、家族と穏やかな会話をする。どんなことでも構いません。心拍数を上げる活動から、下げる活動へと意識的に切り替える習慣が、あなたの睡眠を劇的に変えます。
③寝室環境への投資
もし何か一つだけ物理的な投資をするなら、寝室環境の改善が最もコストパフォーマンスが高いでしょう。光を完全に遮断する遮光カーテンやアイマスク、外部の音を消す耳栓などは、比較的安価で大きな効果が期待できます。
特に、温度調節機能のある寝具や、通気性の良いリカバリーシャツは、睡眠の質を左右する深部体温のコントロールに直接貢献するため、検討する価値は十分にあります。
みんなの生声
関連Q&A

Q. どうしたら睡眠の質を効果的に向上させられるか?
A. 最も効果的な方法は、睡眠を「プロの技術」と捉え、「就寝前の安静時心拍数」を最重要指標にすることです。食事の時間や夜の過ごし方を最適化し、この数値を下げることに集中することで、睡眠の質は劇的に向上します。
Q. 具体的に毎晩取り入れられる睡眠改善の習慣は何か?
A. 最も重要なのは、就寝30〜60分前からスクリーンを完全に断ち、読書や瞑想で心拍数を下げる「クールダウンタイム」を設けることです。また、消化活動が睡眠を妨げないよう、最後の食事は就寝の4時間以上前に済ませましょう。
Q. どんな環境が睡眠の質を最も高めるのか?
A. 睡眠の質を最も高めるのは「涼しく、暗く、静かな」環境です。室温は20〜22度程度に保ち、遮光カーテンで光を完全に遮断。夜間の照明はブルーライトを避け、赤色や琥珀色のものを使い、騒音は耳栓などで対策しましょう。
まとめ
あらためて、本記事の要点をおさらいします。
- 睡眠は「最強の能力向上剤」であり、意志力や成功に直結する。
- 睡眠の質は「就寝前の安静時心拍数」で決まる。
- 心拍数を下げる生活習慣を身につけることが、最高の睡眠への道。
今夜、ベッドに入る前に、そっと首筋に指を当ててみてください。
その鼓動の速さが、あなたの1日の頑張りを物語っています。そして、その鼓動を少しでも穏やかにすることが、未来のあなたへの最高の贈り物になるはずです。プロの睡眠家としての最初の夜、明日の朝、新しい自分に会えるのを楽しみに、おやすみなさい。