
海外メディア「Wired」のインタビュー(SI.comが報道)で、著名なバイオハッカー、ブライアン・ジョンソン氏が衝撃的な発表をしました。彼が自身の若返りプロジェクトを基に立ち上げたサプリブランドの今後とは?その決断の裏にある哲学に迫ります。
このニュースの要点は、下記3つです。
- ブライアン・ジョンソン氏が、自身のサプリブランド「Blueprint」の売却または閉鎖を検討していることを明らかにした。
- その理由は「ビジネスが、自身の哲学の信頼性を損なっている」と感じているため。
- 彼は会社の経営難を否定し、あくまで哲学的なトレードオフの問題であると主張している。
▼ 出典元
Longevity Enthusiast Bryan Johnson Just Made His Most Shocking Announcement Yet
アンチエイジングの象徴、そのビジネスを手放す?
年間200万ドル(約3億円)を投じて自らの肉体を18歳に若返らせようと試みるテック富豪、ブライアン・ジョンソン (Bryan Johnson) 氏。彼のストイックなアンチエイジング生活「プロジェクト・ブループリント (Project Blueprint)」は、世界中の長寿に関心を持つ人々の注目の的です。
その彼が、自身のプロジェクトを基に立ち上げた健康・サプリブランド「Blueprint」について、衝撃的な発表をしました。2025年7月、海外メディア「Wired」とのインタビューで、彼はBlueprint社の売却または閉鎖を検討していることを明らかにしたのです。
なぜ彼はビジネスを手放したいのか?
Blueprint社は、ジョンソン氏が実践するサプリメントの組み合わせを商品化した「ロンジェビティ・ミックス」(49ドル)や、特製のオリーブオイル(35ドル)などを販売しています。もともとは、友人たちから「何を摂っているのか教えてほしい」という要望に応える形で始まったサイドプロジェクトでした。
しかし、このビジネスが彼の哲学に影を落とし始めたと、ジョンソン氏は語ります。
「正直なところ、閉鎖するか売却するかに非常に近い。私にはお金は必要ないし、この会社は面倒な代物だ。」「人々はビジネスの側面を見て、私の哲学に対する信頼性を低く見るようになった。私はそのトレードオフをするつもりはない。私にとってそれだけの価値はない。だから、もういらないんだ。」(Wiredのインタビューより)
彼にとって、Blueprint社は「人類の長寿を民主化する」という壮大なミッションを伝えるための手段でした。しかし、そのビジネスが「金儲け」と見なされ、彼の思想そのものの純粋さが疑われるようになった。その状況に、彼は耐えられなくなったのです。これは、利益よりも思想を重んじる、彼らしい哲学的な決断と言えるでしょう。
経営難の噂と、彼の反論
この発表の数ヶ月前、ニューヨーク・タイムズ紙は、Blueprint社が深刻な経営難に陥っていると報じていました。従業員の証言や内部文書に基づき、同社は毎月の損益分岐点を100万ドル以上下回っていると指摘されていました。
当時、ジョンソン氏はこの報道への直接的なコメントを避けていましたが、今回のインタビューでは改めて経営危機を否定しています。
「彼らは、私たちが緊急の財政状況にあるかのように描いた。それは事実ではない。私たちは損益分岐点に達しており、そのことは何度も公言してきた。利益が出た月もあれば、損失が出た月もある。」(Wiredのインタビューより)
彼の主張によれば、今回の決断は経営的な問題ではなく、あくまで自身の哲学とビジネスとの間の葛藤の結果であるということになります。
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- ブライアン・ジョンソン氏が、自身のサプリブランド「Blueprint」の売却または閉鎖を検討していることを明らかにした。
- その理由は「ビジネスが、自身の哲学の信頼性を損なっている」と感じているため。
- 彼は会社の経営難を否定し、あくまで哲学的なトレードオフの問題であると主張している。
年間で3億円もの費用を若返りのために投じ、ついにはサプリメント会社まで立ち上げた方が、今になって「面倒だからやめる」とおっしゃるとは──。富裕層の発想は、やはり私たちにはなかなか理解しがたいものですね。
ただ、「金儲けだと思われるのが嫌だった」というお気持ちは、少し興味深くもあります。
ふと考えてみると、私たちも「健康のため」と言いながら、いつの間にか“ポイントを貯めること”が目的になってはいないでしょうか。
何が本当に大切なのか──時には立ち止まって、見失わないようにしたいものです。