投稿者: nagaiki

  • 長生きするほど不安…老化研究の光と影

    世の中どこもかしこも「人生100年」と言っていますが、誰が本気で望んでいるのやら。

    長生き自体、ありがたいことですが、寝たきりで10年生きるなんて聞くだけで胃がキリキリします。

    こっちの本音としては、そもそも「老化」自体が怖いのですから。

    シミとかシワとかの話じゃないですよ?

    認知症、がん、心臓病。

    寿命が伸びた結果、それらまとめて全部背負わされるとか、もう勘弁してほしい話です。

    「長生き怖いよ」と言ったら笑われますが、本当に不安です。

    でも最近、少しだけ希望の光も見えているらしいです。

    どうやら老化自体をターゲットにして「治す」研究が世界中で進んでるもよう。

    個々の病気を一個ずつ治療するのではなくて、そもそもの「老化」自体を抑え込んでしまう。

    そうすると認知症も、がんも、心臓病もまとめてリスクが減らせるかもしれないというわけです。

    マジですか…と思うでしょう?

    その辺り、世界トップの研究者が真剣に取り組んでいるらしいです。

    今日はその最前線を、臆病者代表として私どもが噛み砕いてお届けいたします。

    老化の正体は「アクセル踏みっぱなし現象」

    「老化の原因ってなんなの?」って思うでしょう。

    英国の著名な老化遺伝学者Linda Partridge教授いわく、体の細胞が若い頃は元気いっぱい動くけれど、加齢と共にその元気が逆にアダになるとのこと。

    Linda Partridge:英国の著名な遺伝学者・生物学者で、老化や健康寿命の分子メカニズム研究の世界的権威です。UCL教授やマックス・プランク研究所名誉職を務め、加齢制御の先駆的研究で多くの賞を受賞しています。

    体には「栄養感知ネットワーク」という仕組みがあります。

    これは細胞が「栄養ある?ない?」と様子を見て、成長したり休んだりを決める信号システムです。

    • インスリン/IGF-1経路
    • mTOR経路

    上記が代表選手で、言ってしまえば「体内のアクセルとブレーキ」です。

    若いときはアクセル踏んだ方が成長するので問題ありませんが、年を取ると踏みっぱなしでブレーキが効かなくなる。

    その結果、細胞が疲弊して老化現象が進むカラクリです。

    老化を抑えるってどうやるの?

    「じゃあアクセル緩めたらいいじゃん!」という話になりますよね?

    そこで出てきたのが既存の薬を使う方法。

    新薬開発するより早いし安い。

    Partridge教授らはショウジョウバエやマウスで実験しまくっています。

    「ドラッグ・リパーポシング」です。

    【失敗例】リチウム:虫でOKでも人でアウト

    まず試したのがリチウム。

    双極性障害の治療薬ですが、GSK3という酵素を抑えて老化を抑える効果があります。

    • 線虫やハエ → 寿命が延びた!
    • マウス → 腎臓が壊れた!

    というわけで失敗。

    モデル生物で上手くいっても、人間では毒になるパターンです。

    これが「モデル生物の壁」という、研究者泣かせの難関です。

    【成功例】トラメチニブ:がん薬がまさかの救世主

    次に試したのが抗がん剤「トラメチニブ」。

    これはRas-MAPK経路のMEKを抑える薬です。

    • ハエ → 低用量で寿命延びた!
    • マウス → 特にオスで寿命延びた!

    おぉ!いいじゃない!

    しかも老化がある程度進んでから投与しても効果あるらしいです。

    「もう歳やから遅いわ」と諦める必要はないかもしれません。

    【驚きの発見】ラパマイシン:腸がカギやったとは!

    老化研究で一番有名なのがラパマイシン。

    mTORC1という「アクセル役」をガッツリ抑える薬です。

    Partridge教授の研究で分かったのは、

    • オートファジー(細胞の大掃除システム)が超大事
    • 効果が出るのは全身じゃなく腸管上皮細胞がメイン

    つまり、腸の元気が体全体の老化に関わるという話。

    まさか腸が主役だったとは…。

    しかも、ラパマイシンはずーっと飲まなくてもOK。

    成虫になってからたった2週間投与しただけで、終生投与並みに寿命が延びるらしいです。

    なんなんでしょう、この「短期集中ダイエット」みたいな話。

    副作用リスクを減らせる可能性があるのはめちゃくちゃ希望ですね。

    研究者が次に目指してるのが「ポリピル」。

    いわゆる合わせ技一本。

    リチウム、トラメチニブ、ラパマイシンを一緒に低用量で使うと、単品より効果が大きいようです。

    • お互い邪魔せず
    • 足し算みたいに効く

    という夢の話ですが、副作用減らして効果を最大化するには良さそうです。

    とはいえ、ここから人間で試すのはまた大変でしょう。

    老化は治療できるのか?

    結論から言うと、まだ「人間で確定」とは言えません。

    でも老化は「治療のターゲット」になる時代に入ったのは確かです。

    今、アメリカでメトホルミンという糖尿病薬を使ったTAME試験が進んでいます。

    老化そのものを治療対象にする初の試みです。

    老化=宿命や思っいましたが、科学はそこをひっくり返そうとしています。

    臆病者にはまだ怖い話ですが、希望はあります。


    (出典:Can We Cure Ageing? | Prof Linda Partridge)

    「長生き怖いよ」とボヤくのも仕方ない話ですが、最近は「老化は防げるかもしれない」という研究が本気で進んでいます。

    リンダ・パートリッジ教授たちが見せてくれた未来は、寝たきりで長生きするのではなくて、最後まで元気でいれる可能性を感じさせます。

    まだまだ課題は山積みですが、未来にちょっとだけ賭けてみる価値はあるのではないでしょうか。

    FAQ

    Q.老化治療の薬って、もう買えるの?

    A.今のところ「老化防止専用」の薬は市販されていません。しかし、糖尿病薬のメトホルミンや、ラパマイシンといった既存薬を使った研究が進んでいます。

    Q.mTORって何?

    A.細胞の「成長せえ!」という号令を出すタンパク質です。若いときは大事ですが、老化には逆効果になることがあります。

    Q.ラパマイシンって副作用あるの?

    A.免疫抑制作用があって感染症に弱くなる可能性があります。一方で、短期投与で副作用が減らせるかもしれないという話もあります。

    Q.老化を防ぐ方法って何がある?

    今確実に言えるのは

    • 食べすぎない
    • 適度な運動
    • 睡眠
    • ストレス減らす

    というド定番。

    もちろん、薬で抑えられる時代が来るかもしれません。

    「長生き怖いよ」言いながらも、ちょっとだけ未来に期待して、生き延びましょう。

    専門用語解説

    ジェロサイエンスGeroscience

    老化を生物学的に解明して、それをまとめて治療しようとする学問分野。

    栄養感知ネットワーク(Nutrient-Sensing Network)

    細胞が栄養の有無を感知して成長や代謝をコントロールする仕組み。

    エムトールmTOR

    細胞の成長を司るタンパク質。アクセル役。

    英語表記:mammalian Target Of Rapamycin

    オートファジー(Autophagy)

    細胞内の不要物を掃除する仕組み。自食作用とも。

    セノリティクス(Senolytics)

    老化細胞をピンポイントで除去する薬。

    ポリピル(Poly-pill)

    複数の薬を一つにまとめた治療法。

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