
このニュースは、2025年7月、アメリカのラスベガスで開かれたアンチエイジングのイベントで、注射を受けた女性2人が病院に運ばれたという、海外の怖い話ですわ。「若返る」なんて甘い言葉の裏には、とんでもない落とし穴があるかもしれまへん。あんた、その美容注射、ほんまに安全やと信じられますか?
このニュースの要点は、下記3つです。
- 米国のアンチエイジングイベントで、「ペプチド注射」を受けた女性2人が体調を崩し入院しました。
- この注射は、国の規制当局である『FDA(アメリカ食品医薬品局)』の承認を得ていないものでした。
- 背景には、規制外の「コンパウンディング薬局」が調合する未承認薬の危険性があります。
出典元:Two Women Fall Ill After Shots at Anti-Aging Forum(Newser, 2025年7月29日)
目次
「若返り注射」で女性2人が病院搬送
2025年7月、ラスベガスで開催された『老化と死への革命フェスティバル』というイベントで、深刻な健康被害が発生しました。38歳と51歳の女性2人が、会場で老化防止を目的とした「ペプチド注射」を受けた後、体調が急変し、一時、人工呼吸器を装着するほどの重体となったのです。
近年、ペプチドは、政治家のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏 (Robert F. Kennedy Jr.) らがアンチエイジング効果を宣伝したこともあり、代替医療として人気が高まっています。しかし、その安全性には大きな疑問符が投げかけられています。
なぜ危険?「FDA未承認」と「コンパウンディング薬局」という闇
今回の事件の背景には、米国の医薬品規制の「抜け穴」が存在します。問題の注射は、国の規制当局である『FDA(Food and Drug Administration, アメリカ食品医薬品局)』の承認を得ていない、規制外の製品でした。
これらは「コンパウンディング薬局」と呼ばれる、独自の調合を行う特殊な薬局で製造されています。FDAは、このような薬局が扱う人気のペプチド成分のうち、少なくとも18種類に「重大な安全上のリスク」があると警告を発していました。つまり、安全性が全く保証されていない注射が、イベント会場で安易に提供されていたのです。
比較して見えてくるポイント
同じ「医療」という名前でも、その信頼性には天と地ほどの差があるようです。
vs 通常の処方薬
今回のアンチエイジング注射 | 病院で処方される薬 |
『FDA』の承認がなく、安全性や有効性が科学的に保証されていません。規制の網の目をすり抜けた、いわば「グレー」な存在です。 | 国(日本では厚生労働省)が、厳しい臨床試験を経て安全性と有効性を審査し、承認しています。万が一の副作用にも公的な救済制度があります。 |
vs 日本の美容クリニック
今回のアンチエイジング注射 | 日本のまっとうな美容医療 |
医師免許を持たない施術者が注射した可能性も指摘されています(医師はカリフォルニア州の免許のみ)。誰が施術するかが不透明です。 | 医師法に基づき、必ず医師の診察と管理のもとで施術が行われます。使用する薬剤も、基本的には国内で承認されたものが中心です。 |
「最新」「代替医療」といった言葉の響きに惑わされてはいけません。その裏側で、誰が、何を、どんな責任のもとで行っているのかを見極める必要があります。
このアメリカの事件は、他人事ではありません。日本でも、インターネットやSNSを通じて、海外から未承認の医薬品やサプリメントを個人輸入することが容易になっています。「海外で流行っているから」「有名人が使っているから」といった理由で、安易に手を出すことの危険性を、この事件は示しています。
特に、自由診療の美容医療やアンチエイジング治療を受ける際は、注意が必要です。その治療法や使用する薬剤が、国の承認を得た、科学的根拠のあるものなのかを、消費者である私たち自身が、これまで以上に厳しい目で見極める必要があるのです。
重要キーワード
「ペプチド注射」とは?
アミノ酸が複数結合した「ペプチド」を、アンチエイジングや健康増進の目的で体内に注射する代替医療の一種です。正規の医薬品として承認されているものもありますが、この記事で問題となっているのは、効果や安全性が未確認のまま、規制外で流通しているものです。
「コンパウンディング薬局」とは?
医師の処方に基づき、患者一人ひとりのために独自の調合を行う特殊な薬局です。既製品では対応できないニーズに応える重要な役割がありますが、その製品は『FDA』の厳格な審査対象外となるため、品質や安全性にばらつきが生じるリスクが指摘されています。今回の事件の温床となった存在です。
みんなの生声
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- 米国のアンチエイジングイベントで、「ペプチド注射」を受けた女性2人が体調を崩し入院しました。
- この注射は、国の規制当局である『FDA(アメリカ食品医薬品局)』の承認を得ていないものでした。
- 背景には、規制外の「コンパウンディング薬局」が調合する未承認薬の危険性があります。
あなたに問う
楽して若返るなんて聞くと、心が躍るのも無理はないわな。
せやけどな、ちょっと思い出してみて。近所の八百屋さんで大根一本買うときかて、あんた、泥が付いてるか、葉っぱがシャキッとしてるか、ちゃんと自分の目で見て選ぶやろ?
自分の体に入れるもんは、それより、もっともっと大事なもんや。どこの誰が作ったか分からんようなものを、ホイホイ体に入れてしもて、ほんまに大丈夫かねぇ。わしは、あんたの体が心配やわ。
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