この記事では、科学誌『Nature Metabolism』に掲載された最新研究に基づき、「若返りビタミン」探しの旅に終止符を打つ可能性のある発見を解説します。ほんでな、老化の研究のいっちばん新しいとこで、あんたの体の粒々を、もういっぺんピチピチに若返らせるっちゅう話があんねんけどな、そこでビタミンB12っちゅうのが、そりゃあ大事な働きをしとるってことが、わかったんやて。
この記事を読むと、3つのことがわかります。
- なぜ多くのアンチエイジングサプリが「気休め」で終わってしまうのか、その科学的な理由がわかります。
- 細胞の時計「エピゲノム」を巻き戻す「細胞の再プログラミング」という若返りの本質が理解できます。
- 数ある若返りビタミンの中で、なぜB12が細胞の若返りの「鍵」となるのか、その明確な根拠が手に入ります。
話し手:オリバー・メドヴェディック(Oliver Medvedik)
プロフィール:細胞老化とがん研究の世界的権威。本記事で紹介する研究の責任著者。老化研究の最前線を切り拓くため、『Amazon』創業者ジェフ・ベゾス氏などが出資する巨額の研究機関『アルトス・ラボ』に在籍。細胞の再プログラミング技術の応用に注力している。
出典:Vitamin B12 Is Critical for Cellular Reprogramming
目次
その若返りビタミン、本当に“細胞”まで届いていますか

ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、NMN……。
雑誌やネットで「若返りに効く」と聞けば試し、気づけば洗面台の棚はサプリメントのボトルでいっぱい。毎朝、手のひらに乗せたカプセルを水で流し込み、「これで今日も大丈夫」と自分に言い聞かせる。
でも、心のどこかで分かっている。鏡に映る自分は、確かに昨日より老いている。
肌のハリや、目覚めの良さ。一時的な変化はあっても、根本的な生命力が若返っている感覚はない。まるで、穴の空いたバケツに、外から水を注ぎ続けているような虚しさ。「私の飲んでいるこの若返りビタミンは、本当に意味があるのだろうか」そんな疑念が、ふと心をよぎることはありませんか。
なぜ老化は止められない?細胞の時計「エピゲノム」の存在

これまで私は、「若返りビタミン」という言葉に振り回され、数え切れないほどのお金と時間を無駄にしてきました。「抗酸化」という言葉を信じては、新しいサプリに飛びつく日々。
しかし、どれだけ表面的なケアをしても、内側から進む老化の進行を止めることはできませんでした。なぜなら、本当の問題はそこではなかったからです。
老化の本質は、私たちの細胞の「DNAの使われ方」を決める“ソフトウェア”が、時間と共に劣化することにありました。
このソフトウェアこそが「エピゲノム」。
※エピゲノムとは、DNAの塩基配列を変えることなく、遺伝子の働きを後天的に制御する仕組みのことです。
この記事で紹介する研究は、そのソフトウェアを書き換え、細胞の時計を巻き戻す「細胞の再プログラミング」という、本質的なアンチエイジングに光を当てます。
もうこれ以上、あなたに遠回りをしてほしくない。その一心で、この情報をお伝えします。
細胞の時計を巻き戻す鍵「ビタミンB12」の科学

2006年、山中伸弥教授が発見したiPS細胞技術は、「細胞の再プログラミング(若返り)」が可能であることを世界に示しました。そして今、老化研究の最前線では、この技術を応用し、体を傷つけずに細胞を若返らせる「部分的再プログラミング」が現実のものとなろうとしています。
細胞の老化情報を書き換える「メチル化」
細胞の時計である「エピゲノム」を書き換える上で最も重要なのが、「メチル化」という化学反応です。DNAに「メチル基」という小さな“付箋”を貼ったり剥がしたりすることで、どの遺伝子をオンにし、どの遺伝子をオフにするかをコントロールしています。老化とは、この付箋のパターンが乱れていくことに他なりません。

若返りの「律速段階」を担うビタミンB12
※律速段階とは、複数の工程からなるプロセス全体で、最も速度が遅く、全体のスピードを決めてしまう工程(ボトルネック)のことです。
今回の研究が突き止めたのは、この「メチル基」を細胞に供給するプロセス全体の中で、ビタミンB12が決定的に重要な役割を担っているという事実です。ビタミンB12は、メチル基の“原材料”となるアミノ酸(メチオニン)をリサイクルする工場の、重要な部品(補酵素)として働きます。この部品が不足すると、工場全体の生産ラインが滞ってしまう。つまり、ビタミンB12は、細胞の若返りという一大プロジェクトの「律速段階」を握る、最重要の若返りビタミンなのです。
「細胞の若返り」を最適化する、今日からの一歩

この研究は、私たちが摂るべき「若返りビタミン」について、明確な一つの答えを示唆しています。それは、抗酸化のような「守り」のケアだけでなく、エピゲノムを書き換える「攻め」のケアのために、その鍵となる栄養素を十分に確保する、ということです。
細胞の再プログラミングは、体内で膨大なメチル基を消費します。実際に研究では、再プログラミングを誘導したマウスの血中ビタミンB12濃度が、著しく低下することが確認されています。これは、私たちの体が若返ろうとするとき、いかに大量のビタミンB12を必要とするかを示しています。
多くの若返りビタミンが期待した効果を出せないのは、この最も基本的な「原材料」の不足が原因かもしれません。ビタミンB12は、レバーや貝類などの動物性食品に多く含まれますが、年齢と共に吸収率は低下しがちです。細胞の時計を巻き戻すという根源的な活動をサポートするために、ビタミンB12の重要性を再認識することが、確かな一歩なのです。
みんなの生声
関連Q&A
Q.効果的なビタミンB12サプリメントの選び方は?
A.ビタミンB12には種類がありますが、体内で直接利用されやすい「活性型」のメチルコバラミンを含む製品が推奨されます。年齢と共に胃酸の分泌が減ると吸収率が低下するため、舌下で溶かすタイプも効率的です。最終的には含有量や品質を確認し、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが大切です。まずはご自身の体質を知ることも重要かもしれません
Q.数ある若返りビタミンの中で、なぜB12が重要なのですか?
A.抗酸化作用を持つビタミンC等も重要ですが、「細胞の設計図」自体に働きかける「細胞の若返り」という観点では、ビタミンB12が決定的に重要です。B12は細胞の老化情報を書き換えるための「インク(メチル基)」の供給源であり、若返りプロセスの“律速段階”を担うことが科学的に示唆されています。
Q.ビタミンB12が不足すると、どうなりますか?食事で補えますか?
A.ビタミンB12の不足は、疲労感や集中力の低下、手足のしびれなどを引き起こす可能性があります。B12はレバーや貝類、肉、魚といった動物性食品に多く含まれています。菜食中心の食生活の方や、加齢により胃腸での吸収力が低下している方は不足しやすいため、サプリメントでの補給も有効な選択肢となります。
まとめ
あらためて、今日の話の要点をおさらいします。
- 老化の本質は、細胞の時計「エピゲノム」の乱れにあります。
- 細胞の時計を巻き戻す「再プログラミング」には、大量のビタミンB12が必要です。
- ビタミンB12は、細胞レベルの若返りを支える、最重要の「若返りビタミン」の一つです。
映画の中みたいな難しい若返りの話と、近所の薬局で買える、ただのビタミン剤。その二つがな、ピタッと繋がる瞬間、なんや頭がスッとするような、ええ気持ちになるもんやで。あんたにも、ぜひそれを味わってほしいわ。未来はな、もうあんたの手の中にあるんかもしれんで。
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