この記事では、著名なバイオハッカーであるブライアン・ジョンソン氏のポッドキャストに基づき、日中のパフォーマンス向上に直結する「睡眠」の技術を解説します。睡眠はな、「休息」とちゃう。「スキル」ですわ、技術。ちゃんと考えて、練習すれば、上手になるもんなんですよ。
この記事を読むと、3つのことがわかります。
- なぜ夜中のアイスやラーメンを我慢できないのか、その科学的な理由がわかります。
- 複雑な健康情報をシンプルにする、睡眠の質を測る「たった一つの指標」が手に入ります。
- 日中のパフォーマンスを最大化する「プロの睡眠家」になるための具体的な手順が学べます。
話し手:ブライアン・ジョンソン (Bryan Johnson)
プロフィール:『カーネル社(Kernel)』の創業者兼CEOにしてバイオハッカー。自身の体をハッキングし、老化に抗うための壮大な実験『プロジェクト・ブループリント』で世界的に知られる。データと科学的根拠に基づき、睡眠、食事、運動など生活のあらゆる側面を最適化している。
出典:My Advanced Guide To Better Sleep | Bryan Johnson Podcast
※この記事は、ポッドキャストの紹介であり、医学的アドバイスではありません。健康に関する判断は必ず医師にご相談ください。
目次
あなたはまだ、睡眠を“運任せ”にしていませんか

夜11時。ようやく今日の仕事が片付いた。ソファに倒れ込み、スマホを開く。指が勝手に動画アプリをタップしてしまう。
「少しだけ」のつもりが、気づけば深夜1時。頭の片隅で「早く寝ないと明日の会議が…」と分かっているのに、なぜかやめられない。
そして、冷蔵庫の扉を開けてしまう。罪悪感と共にアイスを口に運び、「明日から頑張ろう」と誓う。しかし、次の日も、その次の日も、同じことの繰り返し。
若い頃は、こんなことなかったはずなのに。この意志力の衰えこそが、老化なのだろうか。そんな漠然とした不安と自己嫌悪が、胸に重くのしかかっていませんか。
なぜあなたの意志力は、毎晩のアイスに負け続けるのか

これまで、どれだけ自分を責めてきたことでしょう。「意志が弱い」「自己管理ができないダメな人間だ」と。
私もそうでした。気合と根性で乗り切れると信じ、睡眠時間を削っては日中の集中力低下に悩み、夜にはそのストレスから暴食に走る。その悪循環から、どうしても抜け出せなかったのです。
しかし、問題はあなたの「意志」ではありませんでした。ジョンソン氏が指摘するように、睡眠不足は脳の意思決定能力を著しく低下させます。ある研究では、その影響は法的に“酔っぱらい”である状態と酷似していることさえ示されています。
つまり、あなたは「意志が弱い」のではなく、「酔っぱらい」の状態で、目の前のアイスと戦わされていたのです。これでは勝てるはずがありません。必要なのは根性ではなく、正しい「技術」だったのです。
バイオハッカーが実践する「プロの睡眠術」

ジョンソン氏は、睡眠を「習得すべきスキル」と断言します。そして、そのスキルをマスターするための最もシンプルな方法が、たった一つの指標に集中することです。
すべての答えは「就寝前の安静時心拍数」にある
健康情報はあまりに複雑です。しかし、ジョンソン氏は、その全てを「就寝前の安静時心拍数を下げるものは善、上げるものは悪」という、極めてシンプルなルールに集約します。
[ここに、心拍数を上げる要因(食事、ストレス、スマホ等)と下げる要因(読書、瞑想等)を比較する図解を挿入]
この指標は、あなたの体が睡眠に対してどれだけ「準備」できているかを示す、最高の責任パートナーになります。
プロの睡眠家になるための10のルール
- プロ意識を持つ:なぜなら、睡眠は受動的な休息ではなく、能動的に勝ち取るべき技術だからです。
- 最後の食事は早く:なぜなら、消化活動は心拍数を上げ、深い眠りを妨げる最大の要因の一つだからです。
- リラックス時間を確保:なぜなら、脳が興奮状態から鎮静状態に移行するには、最低でも30分は必要だからです。
- 朝の光を浴びる:なぜなら、朝の光が体内時計をリセットし、約15時間後に自然な眠気を促すメラトニンの分泌を予約するからです。
- 就寝時間を固定する:なぜなら、体は一貫したリズムを好むため、決まった時間に眠ることで入眠がスムーズになるからです。
- 刺激物を避ける:なぜなら、カフェインの半減期は約6時間あり、午後の摂取は夜まで脳を覚醒させ続けるからです。
- 夜の光を管理する:なぜなら、ブルーライトは睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を強力に抑制してしまうからです。
- 室温を低く保つ:なぜなら、深部体温がスムーズに下がることによって、体は深い眠りに入りやすくなるからです。
- 静かな環境を作る:なぜなら、睡眠中も聴覚は働いており、小さな物音でも脳は覚醒し、眠りが浅くなるからです。
- ウェアラブルで計測する:なぜなら、『Oura Ring』などのウェアラブルデバイスやアプリを使い、客観的なデータを見ることで、自分の行動と睡眠の質の関係を正確に把握できるからです。
まずは10%改善から。凡人ができる「プチ・ブライアン式」睡眠改善法

彼の方法はあまりに過激で、真似できないと感じたかもしれません。しかし、重要なのはそのエッセンスです。全てを完璧にこなす必要はありません。まずは「就寝前の安静時心拍数を10%下げる」ことを目標に、できそうなことから始めてみましょう。
①心拍数を測り、自分の「敵」を知る
何よりもまず、現状把握です。ウェアラブルデバイスがなくても、就寝前にリラックスした状態で、首筋に指を当てて脈を測ってみましょう。「6秒間の拍数×10」で、おおよその心拍数がわかります。
そして、その日の行動(遅い食事、寝る前の飲酒、仕事のストレスなど)と心拍数の関係を記録します。これにより、あなたの睡眠の質を最も下げている「最大の敵」が誰なのかが見えてきます。
②寝る前の30分「聖域」を作る
ブライアン氏の戦略の中で、最も効果的で真似しやすいのがクールダウンです。就寝前の30分間を「聖域」と定め、仕事やスマホ、悩み事から完全に自分を切り離す時間を作りましょう。
温かいハーブティーを飲む、好きな音楽を聴く、家族と穏やかな会話をする。どんなことでも構いません。心拍数を上げる活動から、下げる活動へと意識的に切り替える習慣が、あなたの睡眠を劇的に変えます。
③寝室環境への投資
もし何か一つだけ物理的な投資をするなら、寝室環境の改善が最もコストパフォーマンスが高いでしょう。光を完全に遮断する遮光カーテンやアイマスク、外部の音を消す耳栓などは、比較的安価で大きな効果が期待できます。
特に、温度調節機能のある寝具や、通気性の良いリカバリーシャツは、睡眠の質を左右する深部体温のコントロールに直接貢献するため、検討する価値は十分にあります。
みんなの生声
関連Q&A
Q.睡眠の質を上げるための、最もシンプルで効果的な方法は何ですか?
A.「就寝前の安静時心拍数を下げる」という一つの目標に集中することです。心拍数を上げる行動(遅い時間の食事、寝る前のスクリーン、ストレスなど)を避け、下げる行動(リラックスする時間を作るなど)を意識するだけで、複雑な健康情報を追う必要がなくなり、睡眠の質は劇的に改善します。
Q.なぜ夜食や間食がやめられないのでしょうか?意志が弱いからですか?
A.意志力の問題だけではありません。研究によれば、睡眠不足は脳の意思決定を司る部分のパフォーマンスを著しく低下させます。これは法的に“酔っぱらい”である状態と似ています。つまり、寝不足の状態では、誘惑に抵抗する脳の機能そのものが低下しているため、夜食などを我慢するのが非常に難しくなるのです。
Q.睡眠を改善するために、明日から具体的に何を始めればいいですか?
A.まず「自分はプロの睡眠家である」という意識を持つことです。そして、就寝時間を「重要な会議」と捉え、時間通りにベッドに入りましょう。具体的な行動としては、就寝の4時間前までに最後の食事を終えること、寝る前の30分〜60分はスクリーンを見ずにリラックスする時間にあてることから始めてみてください。
まとめ
あらためて、今日の話の要点をおさらいします。
- 睡眠は運ではなく「技術」。あなたも「プロの睡眠家」になることができます。
- 夜中の暴食は意志の弱さではなく寝不足が原因。パフォーマンス向上には睡眠改善が根本策です。
- 「就寝前の安静時心拍数」を下げることが、最高のパフォーマンスへの最短ルートです。
もう、自分の意志が弱い〜とか、夜中にポテチ食うてまう〜とか、そんなしょーもないことで悩むの、やめなはれ。アホらしい。 ええですか? 気合や根性でどないかなる思うてんのが、そもそも間違いやっちゅうねん。最高のパフォーマンスっちゅうんはな、静か〜な夜に、ちゃんと『仕込む』もんですわ。準備です、準備。
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