
この記事では、「バイオハッキングの父」として知られるデイブ・アスプリー氏の番組で行われた、分子生物学者トム・ベンソン博士との最新対談を基に、老化の根本原因とされる「ミトコンドリア」を修復・移植するという、未来の治療法の可能性と、今すぐ自分でミトコンドリアを増やすための対策を解説します。
この記事を読めば、下記3つのことがわかります。
- なぜ年々疲れやすくなるのか?老化の根本的な仕組みがわかる
- 自分の細胞を若返らせて体内に戻す、未来の治療法の全貌
- 最先端治療を待つ間に、今日から自分でできる老化対策3選
▼ 情報元紹介
- 話し手: トム・ベンソン (Tom Benson)博士、デイブ・アスプリー(Dave Asprey)氏
- 経歴: トム・ベンソン博士:シリコンバレーで複数のハイテク企業を立ち上げた起業家。現在はMitrix社にて、老化や難病の根本治療を目指し、ミトコンドリアの修復・移植技術の研究開発を主導している。|デイブ・アスプリー氏:アメリカの起業家・著述家・バイオハッカー。「バレットプルーフ・エグゼクティブ」創立者で、バターコーヒー発案者。シリコンバレー健康研究所理事長で、健康や自己最適化に関する著書多数。
- 出典元: 誰も知らない老化の治療法
※この記事は、講演の紹介であり、医学的アドバイスではありません。健康に関する判断は必ず医師にご相談ください。
目次
もしかして、老化の根本原因は『スマホのバッテリー』と同じだった?
週末、ソファから立ち上がるのが、なんだかやけに億劫に感じる。
昔は一晩寝れば回復したはずの疲労感が、月曜の朝になっても肩に重くのしかかっている。
それはまるで、長年使ったスマートフォンのバッテリーのようです。充電は100%までしているはずなのに、少しアプリを使っただけですぐに電池が減っていく、あの感覚。
体力や筋力の低下というより、もっと根本的な「エネルギーそのもの」が枯渇していくような、言いようのない無力感。このまま年々、自分の性能が落ちていくのを、ただ受け入れるしかないのでしょうか。
なぜ、あなたの努力は「気休め」で終わってしまうのか?

分かります。これまでにも、あなたは様々な努力をしてきたはずです。
テレビで紹介された健康食品を試し、流行りの運動に手を出しては挫折する。その繰り返し。そして、いつしか「どうせ何をしても気休めにしかならない」という、諦めに似た無力感が心に居座ってはいませんか。それは決して、あなたの意志が弱いからではありません。
根本的な原因、つまり「エネルギーを作り出す発電所」そのものが老朽化しているのに、燃料(栄養)の質を少し変えたり、たまにエンジンをふかしたり(運動)するだけでは、焼け石に水だったのです。
私自身、長年その気休めに時間とお金を費やしてきました。もう、そんな終わりのない徒労から、抜け出しませんか?
科学の最先端は、その「発電所」自体を丸ごと新品に取り替える、という衝撃的な未来に到達しようとしているのです。
細胞の発電所「ミトコンドリア」を移植する時代の到来

老化や様々な病気の根本原因として、細胞内にある「ミトコンドリア」の機能低下が注目されています。ミトコンドリアは、私たちが活動するためのエネルギーを作り出す、いわば細胞内の発電所。この発電所が古くなったり、数が減ったりすることが、全身の機能低下、つまり「老化」に繋がるのです。
分子生物学者のトム・ベンソン氏が開発を進めるのは、このミトコンドリア自体を修復し、体内に戻すという画期的な治療法です。
[STEP 1: 採取]
患者自身の細胞(骨髄など)から、ミトコンドリアを取り出します。
[STEP 2: 修復・培養]
体外の装置で損傷したミトコンドリアを修復し、若々しいものだけを大量に増やします。
[STEP 3: 移植]
元気になった大量のミトコンドリアを、点滴のように体内に戻します。
あなたの細胞から「元気な発電所」だけを取り出し培養する
この治療の第一歩は、患者自身の細胞(主に骨髄の幹細胞など)を採取することから始まります。幹細胞の中には、まだ若く元気なミトコンドリアと、すでに損傷して古くなったミトコンドリアが混在しています。
ベンソン氏のチームが開発する「バイオリアクター」と呼ばれる体外装置は、これらの細胞からミトコンドリアだけを取り出し、損傷したものを修復し、若返らせることができます。そして、元気になったミトコンドリアだけを大量に増殖させるのです。
若返った発電所を体内に戻し、全身のエネルギーを底上げ
次に、体外で培養された何兆個もの若々しいミトコンドリアを、輸血のように再び体内に戻します。これにより、体全体のミトコンドリアの平均年齢が引き下げられ、エネルギー産生能力が劇的に向上することが期待されます。
古い絵の具と新しい絵の具を混ぜ合わせるように、完全に元通りにはならなくとも、全体の色合いを若々しい方向へとシフトさせることができる、とベンソン氏は説明します。
難病や宇宙飛行士の健康維持にも応用される信頼性
この技術は、単なる老化防止に留まりません。パーキンソン病やALS、アルツハイマー病といった多くの難病も、特定の臓器におけるミトコンドリアの深刻な機能不全が原因の一つと考えられています。そのため、この治療法は、これらの病気の根本的な解決策となる可能性を秘めています。
さらに、宇宙空間の強い放射線によってミトコンドリアが損傷を受ける宇宙飛行士の健康維持にも、この技術の応用が検討されており、その信頼性と重要性を示しています。
この究極の治療法は、未来の大きな希望です。そして嬉しいことに、その「細胞の発電所を元気にする」という基本原理は、私たちが今日から実践できることに繋がっています。
未来を待つ間に。今日から「ミトコンドリアを増やす」貯金3選

「ミトコンドリア移植」という未来は非常に希望に満ちていますが、実用化までにはまだ時間が必要です。しかし、がっかりする必要はありません。私たちの細胞の発電所を元気に保つために、今日から始められることはたくさんあります。未来の治療の効果を最大限に引き出すためにも、今から「ミトコンドリア貯金」を始めましょう。
①まずは自分の現状を知る:郵送型検査キット
自分の身体のどこが弱っているのか、どんな栄養素が足りていないのかを知ることが第一歩です。やみくもに対策するのではなく、客観的なデータに基づいて行動を最適化しましょう。
最近では、自宅で簡単にできる郵送型の血液検査キットなどがあり、自分の身体の状態を手軽に把握することができます。まずは現状を知ることで、効率的な対策が可能になります。
②ミトコンドリアを活性化させる食事とサプリメント
ミトコンドリアがエネルギーを作り出す過程では、様々な栄養素が必要となります。特に、加齢とともに体内で減少する「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」や「コエンザイムQ10」は、ミトコンドリアの働きをサポートする成分として注目されています。
もちろん、ミトコンドリアを増やすにはバランスの取れた食事が基本ですが、それだけで必要な栄養素を補うのは困難です。特に、加齢とともに食事だけで補うのが難しい成分は、信頼できる健康サプリメントを上手に活用するのも賢い選択です。
③質の高い休息で回復させる:睡眠改善グッズ
ミトコンドリアは、私たちが眠っている間に修復・回復します。睡眠の質が低いと、日中のダメージを十分にリカバーできず、老化が加速してしまいます。
寝室の環境を整えたり、リカバリーウェアや自分に合った寝具に投資したりすることは、ミトコンドリアを元気にする上で非常に重要です。まずは睡眠時間や質を記録することから始めてみましょう。
みんなの生声
関連Q&A

Q. ミトコンドリアを増やす最も効果的な方法は何ですか?
A. 現在、個人でできる最も効果的な方法は、適度な「空腹感」と「運動」を組み合わせることです。特に、高強度インターバルトレーニング(HIIT)や息が少し上がる程度の有酸素運動は、細胞にエネルギー不足を感知させ、新しいミトコンドリアを作るよう促します。これに、後述する栄養バランスの取れた食事を組み合わせることが重要です。
Q. どの食品がミトコンドリアの数を具体的に増やしますか?
A. 特定の食品だけでミトコンドリアの「数」を直接増やすのは困難ですが、働きを助ける栄養素を摂ることは可能です。イワシやサバなどの青魚、肉類、ブロッコリーに含まれる「コエンザイムQ10」や、豚肉の「ビタミンB群」、ベリー類の「ポリフェノール」などが代表的です。これらをバランス良く食事に取り入れましょう。
Q. 運動と食事、どちらの影響がミトコンドリア増加により大きいですか?
A. 運動と食事はどちらも不可欠で、役割が異なります。運動は「新しいミトコンドリアを作れ」というスイッチを入れる役割、食事はそのための「材料」を供給する役割を担います。運動でスイッチを入れても、材料がなければ発電所は作れません。車の両輪と考え、セットで実践することが最も効果的です。
まとめ
あらためて、本記事の要点をおさらいします。
- 老化や体力低下は、細胞の発電所「ミトコンドリア」の劣化が根本原因。
- 自分のミトコンドリアを体外で若返らせて移植する、未来の治療法が開発中。
- 治療を待つ間も、検査やサプリ、睡眠改善で「ミトコンドリア貯金」は可能。
未来の治療は希望に満ちていますが、今日のあなたの体を作っているのは、昨日のあなたの小さな積み重ねです。
まずは深呼吸して、一杯の水を丁寧に味わってみる。そんな、自分の身体に意識を向けるミクロな充足感が、あなたの細胞を目覚めさせるはずです。