
この記事では、顔面形成外科医であるアミール・カラム医師の解説動画を基に、アンチエイジングの王様「レチノール」の正しい使い方と、多くの人が挫折する“A反応”を乗り越えるための具体的なステップについて解説します。
この記事を読めば、下記3つのことがわかります。
- なぜ多くの人がレチノールで挫折してしまうのか、その5つの根本的な理由。
- 皮むけや赤みを最小限に抑え、効果だけを得るための医師推奨のステップ。
- 「夏は使えない?」「ビタミンCと併用不可?」といった、よくある噂の真相。
▼ 情報元紹介
- 講演者: アミール・カラム(Amir Karam)博士
- 経歴: 米国カリフォルニア州サンディエゴ在住の顔専門形成外科医で、約20年以上の経験を持つダブルボード認定医です。Carmel Valley Facial Plastic Surgeryと自身のスキンケアブランド「KaramMD Skin」を運営し、世界中の患者へ自然で若々しい仕上がりのフェイスリフトやトータルエイジングケアを提供しています
- 出典元: レチノール:刺激のないメリットを医師がガイド!
※この記事は、講演の紹介であり、医学的アドバイスではありません。健康に関する判断は必ず医師にご相談ください。
流行りのレチノール美容液、なぜ私だけ“ドブ”に捨てたみたいに終わるの?

「レチノールはすごい」と聞いて、勇気を出して買ってみた一本の美容液。未来の自分のために、と少し奮発した自分を褒めてあげたいくらいだった。使い始めて数日後、鏡に映ったのは、ツヤツヤの肌とは程遠い、赤くヒリヒリして、ポロポロと皮がむけた自分の顔。「これが好転反応ってやつ…?」と自分に言い聞かせるも、その顔で出勤するのはあまりにも憂鬱で、結局ファンデーションで必死に隠す毎日。結局、1週間も経たずに「私には合わなかったんだ」と使用を中止。今では、洗面台の隅でホコリをかぶるその小瓶を見るたびに、自分の肌と財布に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。なぜ、他の人はあんなに綺麗になっているのに、私だけがこんな目に遭うのだろう。もう、私の肌はレチノールを受け付けない、呪われた肌なんだろうか。
その場しのぎのスキンケアに、もうお金と時間を無駄にするのはやめませんか?

これまで、どれだけ多くの時間とお金を「美肌」というゴールに費やしてきたでしょうか。バズった美容液に飛びついては効果を感じられず、インフルエンサーのおすすめを試しては肌に合わず…。そのたびに、「私の肌が悪いんだ」「もっと高い化粧品じゃないとダメなのか」と、自分を責めてきました。レチノールでの失敗は、そんな負のループの決定打でした。科学的に効果があるとされる王道成分でさえダメだったのだから、もう何を使っても無駄なのではないか。そんな風に、スキンケア自体への情熱を失いかけているあなたに、私は声を大にして言いたい。それは、あなたの肌のせいではありません。ただ、正しい「使い方」を知らなかっただけなのです。 もし、あの忌々しい皮むけや赤みを最小限に抑え、レチノールが持つ本来の素晴らしい効果だけを、安全に引き出す方法があるとしたら?その方法を知ることこそが、あなたのスキンケア迷子人生に終止符を打つ、最後の鍵になるかもしれません。
肌の未来を変える「濃度より継続」という絶対法則

カラム医師は、20年の臨床経験から断言します。「レチノールの効果を決定づけるのは、濃度ではなく、一貫性(継続)です」。多くの人が、「高濃度=高効果」という神話に惑わされ、いきなり強すぎる製品を使って肌バリアを破壊し、挫折します。しかし、肌の細胞レベルでの変化を促すためには、強い刺激を一発与えることよりも、適度な刺激を毎日与え続けることの方が、はるかに重要です。肌がヒリヒリするほどの高濃度レチノールを週に2回使うよりも、刺激を感じない低濃度のレチノールを毎日使う方が、最終的には圧倒的に美しい肌にたどり着きます。これは、筋トレと同じです。たまに無茶な重量を上げるより、適度な重さで毎日続ける方が、確実に筋肉がつくのと同じ理屈です。この「濃度より継続」という原則を理解することが、レチノールを使いこなし、肌の未来を自分の手でコントロールするための、最も確かな自信となります。
今日から始める、A反応で挫折しないための4週間プログラム

では、具体的にどうすればいいのか。カラム医師が推奨する、初心者でも安全に始められるステップを紹介します。
第1週〜第3週:【慣らし期間】
まずは、0.25%〜0.5%程度の低濃度のレチノールを、週に2〜3回の夜のスキンケアから始めます。「保湿剤→レチノール→保湿剤」と挟み込む「サンドイッチ法」で塗布すると、さらに刺激を緩和できます。この期間は、ピーリング効果のあるAHA/BHAなどの化粧品は一旦お休みしましょう。
第4週〜第6週:【頻度を上げる期間】
肌が慣れてきたら、徐々に使用頻度を上げていき、毎晩の使用を目指します。もし赤みが出たら、一度使用を休み、セラミドやナイアシンアミドといった肌バリアをサポートする成分で、肌を落ち着かせてから再開しましょう。
第6週以降:【継続期間】
毎晩使えるようになったら、ここからが本当のスタートです。カラム医師によれば、6〜12週間で小じわやハリの改善が見え始め、3ヶ月以上継続することで、肌全体の明るさやなめらかさといった、目に見える変化が定着してきます。このステージに到達すれば、もうA反応に悩まされることはありません。あとは、日々の継続が、あなたの肌を未来へと導いてくれます。
みんなの生声
関連Q&A

Q. レチノールを洗顔後すぐに使う理由は何ですか?
A. 一般的に、洗顔後の清潔で乾いた肌に有効成分を塗ると、浸透が高まると言われています。しかし、レチノールの場合、この方法は刺激を強く感じる原因にもなり得ます。そのため、この記事で紹介している専門家は、特に初心者の方には、化粧水や保湿剤を先に塗って肌を保護する「サンドイッチ法」を推奨しています。これにより、効果を損なうことなく、刺激を和らげながら安全に始めることができます。
Q. 敏感肌がレチノールを安全に使うコツは何ですか?
A. まず、0.25%以下の低濃度から始めることが鉄則です。頻度も週2回程度からスタートし、肌の様子を見ながら徐々に増やしていきましょう。「保湿剤→レチノール→保湿剤」の順で塗る「サンドイッチ法」は、刺激を緩和するのに非常に効果的です。また、使用期間中は、他の角質除去成分(AHA/BHA)の使用は控え、セラミドやナイアシンアミドといった肌のバリア機能をサポートする成分を併用すると、より安全です。
Q. レチノールを使う最適な頻度とタイミングは何ですか?
A. 最適なタイミングは、一般的に夜です。レチノールは紫外線に弱い性質があるため、夜のスキンケアで使用するのが最も効果的とされています。最適な頻度については、最終的には毎晩の使用を目指すのが理想です。細胞への継続的な刺激が、効果を最大化する鍵となります。ただし、初心者の場合は週2〜3回から始め、肌が慣れるのに合わせて4〜6週間かけて、徐々に毎晩の使用へと頻度を上げていくのが安全で確実な方法です。
まとめ
あらためて、今日の話の要点をおさらいします。
- レチノールの効果を最大化する鍵は、「濃度」の高さではなく「継続」すること。
- A反応は、低濃度から始め、保湿で挟む「サンドイッチ法」で乗り越えられる。
- 夏もビタミンCも併用OK。ただし日焼け止めは絶対必須。
スキンケアの旅は、時に孤独で、心が折れそうになることもあります。しかし、正しい知識という地図があれば、その道のりは決して怖いものではありません。今日の話が、あなたの洗面台の隅で眠っているあの小瓶に、もう一度チャンスを与えるきっかけになれば幸いです。ツルンとむけたゆで卵のような、新しい肌の感触を、数ヶ月後のあなたが楽しんでいますように。