
このニュースは、2025年7月、お隣の台湾で「がん検診を定期的に受ける人は、寿命が3年も長い」という、大規模な調査結果が発表された話ですわ。検診て聞くと、痛いやら怖いやらで、つい後回しにしてしまうけどな。その「また今度」が、あんたの大事な寿命を削ってるかもしれへんで。ちょっと耳の痛い話、聞いていきなはれ。
このニュースの要点は、下記3つです。
- 台湾の専門機関が、がん検診を定期的に受ける人は、受けない人より平均寿命が約3年長いと発表しました。
- 複数の検診を組み合わせることで、寿命が8〜9年延びる可能性も示唆されています。
- 寿命(量)だけでなく、健康に過ごせる期間(質)も向上させることが、専門家により指摘されています。
出典元:Cancer screening extends life expectancy: experts (Taiwan News, 2025年7月)
目次
「寿命が3年延びる」という、がん検診の驚くべき効果
2025年7月、台湾の『衛生福利部国民健康署』と『台湾メディカルスクリーニング協会』は、がん検診の効果に関する共同分析の結果を発表しました。
長年にわたる国家レベルの検診データを基にした、極めて信頼性の高い分析によると、
- 乳がん検診を定期的に受ける女性は、受けない人に比べ平均寿命が3.38年長い。
- 大腸がん検診を定期的に受ける人は、平均寿命が3.1年長い。
と、驚くべき結果が示されました。さらに、同協会の許辰陽理事長は、複数の検診を組み合わせることで、平均寿命が8年から9年も延びる可能性があると付け加えています。
なぜそこまで差がつく?「生活の質」と「経済的価値」という視点
がん検診のメリットは、単に寿命が延びるという数字だけの話ではありません。『台湾大学』の専門家、陳秀熙教授は、「がん検診は人々の生活の質(Quality of Life, QOL)も向上させる」と指摘します。
なぜなら、多くのがんは初期段階では自覚症状がなく、症状が出た時にはすでに進行しているケースが多いからです。早期に発見できれば、体への負担が少ない治療で完治できる可能性が非常に高くなります。これは、本人と家族の肉体的・精神的・経済的な苦しみを未然に防ぐことを意味します。
同協会の試算では、がん検診による寿命延長の経済的価値は、大腸がんだけで1943億ドル(約31兆円)にも上るとされています。
比較して見えてくるポイント
この台湾のデータ、日本の現状と比べてみると、私たちが見習うべき点が見えてきます。
情報の伝え方
台湾 | 日本 |
「寿命が3年延びる」「経済価値は31兆円」など、検診のメリットを具体的でインパクトのある数字で国民に伝えています。 | 自治体からの受診券送付など、制度の案内が中心。「受けないと損をする」という、個人のメリットに訴えかける情報発信はまだ弱いと言えます。 |
アプローチ
台湾 | 日本 |
国と専門機関が連携し、大規模データを分析・公表。科学的根拠に基づき、国民の行動変容を促す「攻め」のアプローチです。 | 個人の自覚や、かかりつけ医からの推奨に頼る部分が大きいのが現状。国全体の戦略としては、まだ改善の余地がありそうです。 |
台湾の取り組みは、予防医療が単なる「推奨」から、国民全体の利益に繋がる「投資」へと、その位置づけを変えようとしていることを示しています。
この台湾のニュースは、がん検診を「面倒な義務」と捉えがちな日本の私たちにとって、その価値を再認識させてくれる重要なデータです。
日本も台湾と同様、国民皆保険制度のもとで、比較的安価に質の高いがん検診を受けられる、世界でも数少ない恵まれた国の一つです。しかし、その受診率は欧米諸国に比べて、決して高いとは言えません。
「症状がないから大丈夫」という過信が、取り返しのつかない結果を招くかもしれない。台湾のデータは、その厳しい現実を、客観的な数字で私たちに突きつけているのです。
重要キーワード
「がん検診」とは?
症状がない健康な人を対象に、がんを早期発見するために行われる検査のことです。日本では、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5つが、科学的根拠に基づき推奨されています。この記事は、その検診が単なる病気の発見だけでなく、寿命そのものを延ばすという、極めて重要な効果を持つことを示しています。
「生活の質」とは?
人がどれだけ人間らしい生活を送り、幸福を感じているかを測る尺度です。医療分野では、単に病気を治すだけでなく、治療後の患者さんが身体的、精神的、社会的に満足のいく生活を送れるかを重視します。がん検診による早期発見は、このQOLを高く維持するために不可欠な手段となります。
みんなの生声
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- 台湾の専門機関が、がん検診を定期的に受ける人は、受けない人より平均寿命が約3年長いと発表しました。
- 複数の検診を組み合わせることで、寿命が8〜9年延びる可能性も示唆されています。
- 寿命(量)だけでなく、健康に過ごせる期間(質)も向上させることが、専門家により指摘されています。
あなたに問う
年に一回の健康診断、面倒くさいわな。わしも、あのバリウム飲むのだけは、毎年「今年こそは…」と思うて、気が重いんや。
せやけどな、考えてみ?あの面倒な半日は、未来の自分への「たった半日の親切」なんかもしれへんで。
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