
「夏休み、実家に帰省する?」なんて会話も聞こえてくる季節。しかし、その裏で、一人暮らしの高齢者が深刻な危険に晒されているかもしれません。2025年7月1日に発表された、米国の高齢者ケア団体からの緊急提言。夏の「孤独」がもたらす、熱中症以上の恐怖とは?
このニュースの要点は、下記3つです。
- 2025年7月1日、米国の高齢者ケア団体が、夏の「猛暑」と「社会的孤立」が高齢者にとって二重のリスクとなると警告した。
- 米国では高齢者の4人に1人が社会的に孤立しており、熱中症による死亡者の大半を高齢者が占めている。
- 対策として、地域のコミュニティ活動への参加や、家族との定期的なビデオ通話などが有効であると提言されている。
▼ 出典元
Assisted Living Locators Urges Families To Protect Seniors From Summer Heat, Isolation
米高齢者ケア団体が7月の「社会的な健康月間」に警鐘
2025年7月1日、アリゾナ州スコッツデール—全米最大級の高齢者向け住居紹介サービス「Assisted Living Locators」は、夏の気温が急上昇するこの時期に、高齢者が直面する「猛暑」と「社会的孤立」という二重の危険性について、家族や地域社会に注意を喚起するプレスリリースを発表しました。
この呼びかけは、毎年7月に制定されている「社会的な健康月間 (Social Wellness Month)」に合わせて行われたもので、健康を守り自立した生活を長く続けるために、支え合いの人間関係を強化することの重要性を訴えています。
高齢者を脅かす熱中症と社会的孤立の現状
今回の警告の背景には、深刻な統計データがあります。
Assisted Living Locatorsが引用した米国疾病予防管理センター (CDC) の報告によれば、米国内では毎年700人以上が熱中症関連で死亡しており、その大多数を65歳以上の高齢者が占めています。
さらに、米国科学・工学・医学アカデミー (National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine) の推定では、高齢者のほぼ4分の1が社会的に孤立した状態にあり、この孤立が死亡率の上昇や認知機能の低下と関連していることが指摘されています。
同社は、家族が休暇で家を空けることが多い夏に、一人暮らしの高齢者が過熱した自宅に閉じこもることで、これら二つのリスクが交差し、生命を脅かす「パーフェクト・ストーム(最悪の事態)」になりかねないと懸念を示しています。
同社が提案する、孤独を防ぎ涼を保つための方法
この二重のリスクに対し、同社は実現可能な具体的な対策をいくつか提言しています。
「猛暑と社会的孤立は、あまりにも頻繁に、高齢者にとって最悪の事態を生み出します」と、Assisted Living Locatorsのブランドプレジデント、フェリシア・サンダース (Felicia Sanders) 氏は述べています。
彼女は、たとえささやかなステップでも、高齢者の安全と幸福に大きな違いを生むと強調します。例えば、
- 地域の高齢者向けコミュニティが開催するブッククラブなどに参加する。
- 家族と定期的にビデオ通話で顔を見ながら会話する。
これらの行動は、高齢者を孤独感から守るだけでなく、エアコンが効いた涼しい環境で過ごす機会を提供することにも繋がります。
専門家による個別化された支援
Assisted Living Locatorsは、この問題に対する具体的な解決策として、全米150以上の拠点にいるシニアケアアドバイザーによる無料の相談サービスを提供しています。
アドバイザーは、各家庭と一対一で連携し、
- 活発なアクティビティカレンダーを持つ自立型・介助付き高齢者向け住宅の紹介
- 在宅ケアサービスの案内
- 家族が旅行中などに利用できる短期入所(レスパイトケア)やデイサービスプログラムの紹介
など、個々の状況に合わせた最適な選択肢を提案します。これらのサービスはすべて、高齢者が夏の間、涼しく、人とのつながりを保ち、生き生きと過ごすことを目的としています。
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- 2025年7月1日、米国の高齢者ケア団体が、夏の「猛暑」と「社会的孤立」が高齢者にとって二重のリスクとなると警告した。
- 米国では高齢者の4人に1人が社会的に孤立しており、熱中症による死亡者の大半を高齢者が占めている。
- 対策として、地域のコミュニティ活動への参加や、家族との定期的なビデオ通話などが有効であると提言されている。
「『暑いから気ぃつけや』て電話の一本でも入れたれや。あんたがリゾート地のプールで浮かれとる間、親はクーラーもつけんと、一人で甲子園見てるかもしれへんで。便利な世の中になった言うてもな、結局、人の命救うんも、人の心を救うんも、人と人との繋がりやねん。その電話一本が、あんたの親の命綱になるかもしれへんのやで、しかし。」