
このニュースは、2025年7月23日、イギリスの研究で、コロナに罹っていなくても、パンデミックの期間を経験しただけで、私たちの脳が5.5ヶ月分も余分に老化していた可能性がある、という海外の衝撃的な話ですわ。あの息苦しい毎日が、知らん間にわしらの脳みそまで縮こませてた、てことやろか。あんたの脳は、大丈夫ですかな?
このニュースの要点は、下記3つです。
- コロナ非感染者でも、パンデミック中に脳の老化が5.5ヶ月分加速していた可能性が示されました。
- ただし、脳の構造的な変化は見られたものの、現時点では認知機能の低下までは確認されていません。
- 専門家は、運動や睡眠、社会的な交流といった健康的な生活で、変化を元に戻せる可能性があると指摘しています。
出典元:The pandemic aged our brains, whether we got Covid or not, study finds (NBC NEWS, 2025年7月23日)
参考論文:Accelerated brain ageing during the COVID-19 pandemic (Nature Communications, 2025年)
目次
あなたの脳に刻まれた「パンデミックの傷跡」
イギリス『ノッティンガム大学 』の研究チームが、学術誌『ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications) 』に、衝撃的な研究結果を発表しました。
それによると、新型コロナウイルスに感染していなかった人でさえ、パンデミックを経験しただけで、脳が平均で5.5ヶ月分も、余分に老化していた可能性があるというのです。この効果は、特に男性と、社会経済的に恵まれない背景を持つ人々で、より顕著でした。
研究の筆頭著者であるアリ=レザ・モハマディ=ネジャド氏 (Ali-Reza Mohammadi-Nejad) は、「脳の健康は、病気だけでなく、より広い人生経験によっても形作られる、ということが浮き彫りになりました」と述べています。
なぜ老化が加速したのか?専門家が語る「複合的なストレス」
では、なぜウイルスに感染していないのに、脳の老化が進んだのでしょうか。研究チームは、その直接的な原因を特定したわけではありませんが、パンデミックがもたらした、複合的な経験が影響した可能性が高いと見ています。
- 心理的なストレス
- 社会的な孤立
- 日常生活の混乱
- 運動不足や健康習慣の乱れ
これらの要因が重なり合い、私たちの脳に、目に見えない「傷跡」として残ってしまったのかもしれません。
比較して見えてくるポイント
同じパンデミックを経験しても、その影響は全ての人に平等ではなかったようです。
性別
影響が大きかったグループ | 10代を対象とした別の研究 |
脳の老化の加速は、女性よりも男性の方が、平均で2.5ヶ月分大きいという結果でした。ストレスの種類による影響の違いが示唆されます。 | ワシントン大学の2024年の研究では、逆に少女の方が少年より脳の老化が大きかったと報告されており、年代によって影響が異なる可能性があります。 |
社会経済的な状況
社会経済的な状況 | 南極の観測隊員を対象とした研究 |
社会経済的に恵まれない背景を持つ人々の方が、脳の老化がより顕著でした。これは、ストレスへの対処能力や、環境の違いを反映している可能性があります。 | 社会的に孤立した環境にいると、脳が縮小するという研究結果があります。環境が脳に与える影響の大きさを示唆しています。 |
このニュースは、少し怖い話かもしれません。しかし、専門家は希望の光も示しています。『コロンビア大学』のアダム・ブリックマン教授 (Adam Brickman) は、「もしパンデミックによって脳が meaningful ways(意味のある形で)変化したのなら、脳に良いことをすることで、その変化を打ち消せるかもしれない」と語ります。
具体的には、
- 定期的な運動
- 健康的な血圧の維持
- 質の高い睡眠
- 社会的な交流
といった、私たちがすでに知っている健康習慣が、パンデミックが残した傷跡を癒し、脳を若返らせる上で、極めて重要になるというのです。
重要キーワード
「脳の老化」とは?
加齢に伴い、脳が物理的に縮小(萎縮)したり、機能が低下したりすることです。特に、記憶などを司る「灰白質」の萎縮は、物忘れや判断力の低下に繋がることがあります。この記事では、パンデミックという社会的なストレスが、この物理的な脳の老化を、実年齢以上に加速させた可能性が指摘されています。
「UKバイオバンク」とは?
イギリスが国を挙げて推進する、世界最大級の健康医療データベースです。約50万人のボランティアから、血液サンプルや遺伝子情報、生活習慣、そして脳スキャン画像といった、極めて詳細な健康データを長期的に収集・蓄積しています。この記事の研究は、このデータベースのパンデミック前後のデータを比較することで、初めて可能になりました。
みんなの生声
まとめ
あらためて、このニュースの要点をおさらいします。
- コロナ非感染者でも、パンデミック中に脳の老化が5.5ヶ月分加速していた可能性が示されました。
- ただし、脳の構造的な変化は見られたものの、現時点では認知機能の低下までは確認されていません。
- 専門家は、運動や睡眠、社会的な交流といった健康的な生活で、変化を元に戻せる可能性があると指摘しています。
あなたに問う
あのしんどかった数年間、あんたも、わしも、よう頑張りましたな。けど、体っちゅうんは正直なもんで、気づかんうちに、心だけやのうて、脳みそまで、ちょっとだけお疲れやったんかもしれまへん。
けどな、人間の体ちゅうもんは、放っといたら古びる一方やけど、ちゃんと手入れしたら、ちゃんと応えてくれるもんやて。
あんたの脳に積もった、あの数年間のホコリ、今日からちょっとずつ、掃除したげまへんか。
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